米中関係の推移
ここで、米中関係の推移についておさらいしておきましょう。
1991年末、ソ連が崩壊して冷戦時代(=米ソ二極時代)が終わった。そして、「アメリカ一極時代」がはじまりました。しかし08年、アメリカ発「100年に1度の大不況」が起こり、「アメリカ一極時代」は終わった。世界は、「米中二極時代」に突入しました。しかも「沈むアメリカ、昇る中国」という関係。
習近平は2013年6月、国家主席として初めて訪米。大歓迎されます。習は、こんなことを言いました。
世界は、中国とアメリカが牽引していくG2時代を迎えた。これからは太平洋の東側、すなわちアメリカ大陸とヨーロッパは、アメリカが責任を持って管理する。一方の太平洋の西側、すなわち東アジアは、中国が責任を持って管理する。つまり東アジアのことは、基本的に中国に任せてほしい。そのような「新型の大国関係」を築こうではないか!
これは、「縄張り提案」ですね。要するに、「東アジアは中国の勢力圏だから、俺に任せてくれ!」と。日本も東アジアなので、「中国勢力圏」に入ってしまいます。
親米派の皆さんは、「そんなのは、アメリカが許さないぞ!」と思うでしょう? ところが、オバマさんは2014年11月、北京で習と会談した際、こんなこと言っています。
中国との二国間関係は、アメリカにとって最も重要な二国間関係だ。だからアジア地域のことは、基本的に中国に任せたい。だがその代わり、周辺諸国と摩擦を起こさずやってほしい。その意味で、「新型の大国関係」という構想に賛意を示したい。
「アジア地域のことは、基本的に中国に任せたい」(オバマ)
おい! 「アジア地域のことを中国に任せたら」、「東シナ海は、その名のとおり中国の海」、「南シナ海は、その名のとおり全部中国領」となるに決まっているでしょう?????? オバマさん、困ったものです。