さらに、1970年代に入ってから、上記の定義に「スピリチュアル」な側面を加えるモデルが提唱されています。
スピリチュアルっていうと、日本ではあまりいいイメージはありませんよね。
モーニングCOSSでも「霊的な感じ?」とMCの堀潤さんから聞かれました。
でも、実はそれもちょっと違うのです。
ここでいうスピリチュアルとは「人生に意味や方向付けを与えるもの」。
欧米では宗教がその役割を担っていますが、日本では五木寛之さんの著書に仏教の教えのようなものが書かれていて、読み終えたあとに人生の光りを得た気持ちになる。これがスピリチュアルです(五木さん以外の書籍などにも同様の役割を担うものがあります)。
スピリチュアルを入れたモデルが考えられた背景には、「心と身体は密接に関わっている。健康とは生きるってことなんでよ」というメッセージを強める意味あいがあります。
生きてれば大変なこともあるし、自分ではどうしようもない病に襲われることもある。そんなときに「人生に意味を与えてくれるもの」に出会うと、それだけでホッとします。ちょっとだけ元気が出ます。この状態が健康なのです。
奇しくも15日の番組では、同じくコメンテーターで出演していた矢野経済研究所の水越孝さんが、「アニメ業界のアニメーターたちの低賃金と重労働」の実態を話してくださいました。
日本では映画を作る際に「制作委員会システム」なるものがあり、そこがほとんどの権利を持っているので、映画の売り上げだけじゃなく、グッズなどの売り上げもドンドンと入ります。
一方、アニメーターの人たちは一枚書いたら終わり。しかもその価格はとても安い。朝から晩まで身を粉にして働いても、平均賃金以下しか稼ぐことができない。そうです。グローバル化の影響で、労働のダンピングが起きているのです。
これってちっとも公平じゃないですよね。
「こんなに働いているのに、なんで自分はこれだけしかもらえないんだ。あの人はあんなにもらっているのに」という労働環境は健康的とはいえません。
つまり、健康とは「社会の窓」を通じて、そこで暮すひとりひとりを見つめ、社会の仕組みや構造を作っていくこと。
格差社会の否定と受け止めることもできます。