中国の財政赤字が拡大。地方の隠れ債務がこの数年で天文学的数字に

 

さらに問題となっているのは、地方政府債務のあまりにも激しい増え方である。2012年末、地方政府の債務総額は9.62兆元であったが、3年後の15年末になると、それが前述の16兆元に膨らんできている。年に2兆元約35兆円の計算だ。

このままでは、各地方政府は膨らむ一方の債務の返済に追われ、破綻への道をたどるのは時間の問題であろう。現に、今年1月から10月まで、地方政府が債務のために支払った利息だけでも4,107億元に上り、前年同期比で41.2%も激増している。

このような緊急事態の中で、「応急処置案」が登場してきたわけだが、問題は、この「処置案」が果たして問題の解決になるのか、である。その最大のポイントは、今後、中央政府は地方政府債務の肩代わりや救済は一切せず、すべては地方政府の責任で処理せよ、という一言である。つまり、中央政府が出した「方策」とは、地方政府に債務処理の責任を負わせただけのことである。

経済が沈滞化している中で中央政府も財政難に陥り、もはや地方政府の面倒を見られなくなったのだ。地方政府からすれば、それは「応急処置」というよりも、まさに中央政府の「不応急処置」に等しい。

結局、地方政府は今後、まったく自力で債務危機を解消していくしかない。そのために彼らがとれる方策は、財政支出の多くを占める公共事業投資を減らす一方税収の大幅増を図ることであろう。

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