やっぱり1位はあの作品。「映画野郎」が選ぶ2016年ベストテン!

 

小川:では、『この世界…』はこの辺にして、改めて1位『シン・ゴジラ』から振り返りましょうか?

原口:『シン・ゴジラ』が1位になってほっとしてます。夏以降あれだけ世間的にも話題になったし、興行的にも81億円という大ヒットで、大方の予想通りではあるのかなと。

小川:確かに予想通りですね。夏の公開で年間1位は鉄板ですね。それと、世間的にも『シン・ゴジラ』にかけて「シン・○○」って文字って遊んでましたし、それこそ『この世界…』や『君の名は。』に負けない社会現象だったんじゃないですかね。

KANTO:『シン・ゴジラ』や『ローグ・ワン』は、2013年に1位になった『パシフィック・リム』に通じる監督のほとばしる情熱に共感する映画ですね。『シン・ゴジラ』の製作現場で、庵野秀明監督が、「すごい映画を作りましょう」と宣言してる裏には、売れ線映画よりも作りたい映画を作ることにこだわっていて、そのアツさが作品にしっかりあらわれている。

小川:3位はタランティーノの『ヘイトフル・エイト』ですね。「映画野郎らしいじゃないですか。

原口:『ヘイトフル・エイト』もほっとする(笑)。タランティーノ監督らしいエグい内容で、貫禄のベストテン入り、というところでしょうか。

KANTO:ジャンル映画をこよなく愛するタランティーノ監督が、グラインドハウス映画の後にチャレンジしたのが、ロードショー超大作。ストーリーや展開はギトギトホラーも真っ青なのに、しっかり往年のハリウッド超大作を彷彿とさせる贅沢極まりない仕上がり。これ、本当に凄いですよ。これが映画の見応えってモンです。

原口:このご時世、こんなバイオレンスなR18+映画がシネコン中心の100スクリーン以上で大々的に公開されるなんて、タランティーノ監督だからというか。

小川:ただですね、『ヘイトフル・エイト』はもう少し遅い時期、7月か8月に公開すれば個人的には確実にベストテンに入れたかと。惜しかった。2月末だから(個人)14位でしたね。けど、順位を下げた理由はそれだけじゃなく、会話中心のサスペンスだったというのも個人的には僅かに順位を下げる要因になりましたかね。

原口:いやいや、その「会話」がタランティーノの得意技だからしょうがない。ジャンル映画としてみたら脱線しまくりなんだけど。

小川:たしかに会話劇にタランティーノの醍醐味がありますけどね。

原口:4位に『ローグ・ワン』が入ったのは、12/16公開で投票まで1カ月弱ということを考えると立派ですよ。去年も12月公開で『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が3位に入ってきて、スター・ウォーズ2年連続の上位入賞

小川:そこはウチのベストテンの強みで、締め切りが遅めの設定なので、皆入れられたのではないでしょうか?

KANTO:これまで2回観て、ギャレス・エドワーズ監督の力量を実感しましたね。これも『シン・ゴジラ』の庵野監督と同じく、作りたい映画をただただ作り上げた感じ。結果的に、エピソード7よりもずっと好きな映画となりましたよ。今後はスルメイカのように何度も味わって楽しむ映画になるでしょう。

原口:僅差の5位が『帰ってきたヒトラー』、これは意外だった。話題だったので見たけど、正直ちょっとピンと来なかった。もっと笑えるかと思ったので。

KANTO:いやいや、これはすごいと言うか、公開時期に観にいけなかったことを今更ながら反省してます。コメディなのにホラーでもある。無茶振りかもしれないけど、これもジャンル映画の範疇に入りますね。

小川:今年というか、その前の年が戦後70年なので、ヒトラーものやナチスものが多かったかな。ボクもさりげなく、5位にナチス関連の『手紙は憶えている』を入れましたしね。

KANTO:ナチ映画は昨年沢山公開されたけど、ドイツ映画がタブーを乗り越えてこんな映画を作れるのか!? ということで、個人的にさらに加点ポイントなりましたね。

原口:確かにドイツでこの内容で作ったのはすごいと思う。タブーに踏み込んだことに対する心意気票かな。で、6位『デッドプール』は3位以内には入ってくるかなと思ってたんだけど、思ったより点が伸びなかった印象。

KANTO:まあ、近年は大体そうなんですが、アメコミ映画はハズレが少ないです。昨年で言えばマーベル系の作品は全て良かったので、特筆して『デッドプール』だけを取り上げることもなかった。

小川:まあ、この作品に関しては「映画野郎」内で他の方と意見が合いませんが、個人的には脚本が受け付けなかったですね。

原口:正義のために戦うわけじゃないアンチ・ヒーローな内容で、ギャグも多いしバイオレンス描写もキツイところが画期的で良かったんだけどね。

KANTO第4の壁と呼ばれる「映画のキャラクターが、観客に話しかける」というフォーマットを存分に使った手法は、苦手な人には難しいかもしれないですね。第4の壁は『マネー・ショート』でも上手く使われてました。

小川:第4の壁ね。まあ、オペレッタ映画は好きなんですけど、単に肌に合わなかっただけということで。

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