しかし、本当に恐ろしいのは国家が特定の道徳的価値を押しつけることである。安倍首相が「救国において、国のために命を懸ける」ことの大切さを唱えていることから考えても、森友学園への特別扱いは、戦前回帰的な教育への支援と受け取ることもできるだろう。
いま小中学校で行われている週1時間の「道徳の時間」は、小学校では2018年度、中学校では2019年度から、「特別の教科」として扱われ、文科大臣の検定に合格した教科書を使用、学習度合の評価が導入される。
安倍首相は第一次政権時の2006年に、教育基本法を改正し、戦前の「修身科」を肯定するような道徳教育の充実・強化をはかった。道徳教育の教科化はそれをさらに進める教育改変といえる。
森友学園のような取り組みを安倍首相が歓迎していることは、夫人が小学校の名誉校長に就くことからも明白だ。
キリスト教系、仏教系の学校があるのだから、神道系の学校があってもかまわないが、多様な価値を認め、複眼的な思考のできる人材こそ今の時代に求められることを忘れてはならない。いじめ防止などに名を借りた戦前回帰的な道徳の押しつけは危険である。
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