【書評】いじめも出自も嘘。「異常な親」がでっち上げた殺人教師

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前回の掲載の記事『【書評】学校vsモンスター母。息子を殺したのはいじめだったのか』では、長野での「いじめ自殺事件」の衝撃の結末をお伝えしましたが、それと同じ、いやある意味その上を行くような事件が福岡でも起きていました。無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんは、モンスターペアレントの言うがままに騒ぎ立てたマスコミや、その他大勢の「でっちあげ支援者」に翻弄された人々を描いた一冊を紹介、「これはホラーだ」と呆れ果てています。

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でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相
福田ますみ・著 新潮社

「学校、いじめ、自殺、裁判」なんてのがキーワードのニュースなんて見たくもないが、マスコミや一部評論家・弁護士・政治家などの好餌であることは間違いない。それと勘違いの支援者たちがいる。とは先日使ったイントロだがふたたび。福田ますみ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』を読んだ。「殺人」というが誰も死んでいない。モンスター・ペアレントがありもしない体罰やいじめをでっちあげ、そのターゲットとされた小学校教師が懲戒処分を受けた事件。火付け役は朝日新聞西部本社版2003年6月27日「『小4の母「曾祖父は米国人」』教諭、直後からいじめ」という大見出し。

そのローカル小火に油を注いだのが「週刊文春」だ。「『死に方教えたろうか』と教え子を恫喝した史上最悪の『殺人教師』」と物凄いタイトル。教師の実名を挙げての具体的ないじめと虐待の報道に、全国ネットのワイドショーが一斉に参戦。モンペは最終的に約5,800万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こした。訴訟の先頭に立ったのは福岡県弁護士会「子どもの権利委員会」委員長の大谷辰雄弁護士、これほどおいしい事案はない。全国の弁護士に呼びかけ約550人もの大弁護団が結成され「殺人教師」に正義の鉄槌を下そうと、お祭り騒ぎ。ところが、裁判は回を重ねる毎に、驚愕の事実が次々と明らかになっていく

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