待機児童の裏に隠された、「巨大な保育利権」の深い闇

 

その一方、民間保育園の理事長の報酬の平均は1千万円を超えているのではないかと見られています。

そして人事権、運営権などは、事実上、設立者の手に委ねられています。

だから、民間保育所を設立した人が、一族郎党を職員として雇い、理事長は代々その一族が引き継いでいる、というケースも非常に多いのです。実際に、民間の保育所の理事長には、2代目、3代目はざらにいるのです。

既得権益の典型的な例だといえます。

このように、民間の認可保育所というのは、非常にボロい商売なのですが、経営者たちにとって、一番の悩みは「新規参入」なのです。

少子高齢化が進み、この先、子供の数は減るばかりです。もし、公立の保育所や認可保育所が増えれば、将来を脅かされることになります。

そのため、いくら待機児童が増えようが新規参入を必死に阻止しているのです。

つまり、待機児童問題というのは、既得権益問題なのです。保育園を経営する地域の有力者たちが、自分の既得権益を守るために、待機児童問題を引き起こしているのです。

で、どうやって、既得権益を守ろうとしているのかというと、政治家に手をまわして、保育所の認可の基準を非常に厳しくしてもらっているのです。

現在、認可保育所を作ろうと思えば、大変な基準をクリアしなくてはなりません

原則として60人以上を子供を預からなければならないことになっています。つまり、子供が60人集まらないところでは、保育所をつくってはならないのです(特別に認められれば20人以上でも可能)。

また、ほふく室、遊技室だけで面積200平方メートル、運動場も200平方メートル以上なければならないとされています。これに、調理室、医務室などを揃えていなければならないのです。

この条件に合うような施設を、都心でつくるのは非常に困難です。建物はともかく、民間人がこれだけの広さの運動場を準備するのは、都心では不可能です。

また上記の施設を用意しても、必ず認可されるとは限りません。最終的な判断は、自治体が行なうのです。だから、自治体がノーと言えば認可は絶対に受けられないのです。

既存の保育所経営者たちは、各自治体に「これ以上保育所を増やさないようにと圧力をかけていますので、自治体は、なかなか保育所を認可しないのです。

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