待機児童の裏に隠された、「巨大な保育利権」の深い闇

 

保育業界というのは、国や自治体から莫大な補助金を受け取っています。

一定の基準をクリアして、自治体から認可された「認可保育所」というのは、それはそれは潤沢な補助金をもらっているのです。

国の基準では、0歳児を一人預かれば、毎月20万円以上の補助金がもらえることになっています。

そして保育士は0歳児3人につき一人つけておけばいいことになっています。保育士の給料はだいたい20~30万円です。ということは、0歳児が3人いれば、補助金から保育士の給料を差し引いても30~40万円の収入になるのです。

これにプラスして、自治体からもらえる補助金や保護者から徴収する保育料があります。だから児童を30~40人も抱えていれば毎月数百万円~1千万円以上の収入になるのです。年間ではなく、毎月ですよ!

しかも、認可保育所には固定資産税や法人税がかかりません。だから、固定費も非常に安く済むのです。

保育所をつくるためには、土地と建物が必要なので、初期投資は必要ですが、それが済めば、後はかなり美味しいビジネスなのです。

だから、逆に言えば、土地と金とコネを持っている人にとっては、これほど美味しい商売はないのです。

民間の保育所の経営者というのは、地主であったり、寺社であったりなど、その地域の有力者である場合が多いのです。彼らが、自分の広い土地に保育所をつくり、税金もほとんど払わず補助金をがっぽりもらって潤い続けてきた、そういう構造があるのです。

民間保育所というのは、社会福祉法人によって運営されていることが多いものです。

この社会福祉法人というのは、税制上、様々な優遇措置を受け、補助金も投入されているにも関わらず、内部の経理関係は不透明になっています。外部からの監査や指導が、ほとんどないからです。

だから、報酬なども、理事長の意向で決められます。

保育士は安い給料でこき使い自分は多額の報酬を受け取るということも多いのです。

実際、民間の認可保育所の保育士の給料が非常に安いという事は、たびたび問題になっています。

前述しましたように、認可保育所では、多額の補助金が出るので、保育士には十分な給料を払っても、十分におつりがくるようになっています。にもかかわらず、ほとんどの民間認可保育所では20万円程度の給料しか払っていないのです(20万円以下の場合も多々ある)。

また民間の認可保育所には、非常に悪辣な人事システムを採っているところが多いのです。初任給は20万円程度で、普通の企業とあまり変わらないのですが、昇給がほとんどないようになっているのです。だから、新卒の就職先としては悪くありませんが、長く働くことはできないのです。

保育所としては昇給をしなくて職員が辞めても、若い人を雇えばいい、という発想になっているのです。

そのため、保育士という仕事の魅力なくなり、志望者が減っているのです。

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