大山氏はもともとビルなどの清掃会社を営んでいたが、あるときに温泉施設の清掃に関わって、温泉成分のスケールに歯が立たない、という経験をし、会社をたたんで薬剤メーカーに4年間勤務して、今の会社を興したという人である。僕の知る限り、温泉施設の清掃に関してこれほど現場を知り尽くしている人に出会ったことはない。
少し宣伝臭くなってしまったが、「温泉成分で床が滑るのは、清掃の手抜き、または泉質に応じた対策を怠っているだけ」という話には納得できる。
お風呂の安全対策にはさまざまな提言をしていて、特に、夜間の照明はもっと明るくすべき、という意見には共感した。露天風呂への通路や、浴槽回りの照明が暗過ぎて危険な施設をしばしば見かける、夜間の転倒事故が多いのはおそらくこれが原因だと思う、と言っていた。湯気もほどほどに換気して、視界を保つことが重要とも話していた。
ただ、星空が見える露天風呂は、正直なところ明るすぎるとつまらないし、湯気でもうもうとしているお風呂というのは、やっぱり魅力的でもある。「ほどほどに」という言葉に、大山氏の温泉愛を感じる気がしたものだ。
少し話がそれたが、入浴中の事故は後を絶たないわけで、それを可能な限り減らして行くために重要なことは、なんたって真面目な清掃なのだ。
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