今も周囲は敵だらけ。大統領なのにトランプ叩きが止まぬ理由

 

先に「意図」があり、その次に「事実」と「ウソ」がある

私たちは、世界情勢をみる際、「最初に意図がある」ことを意識している必要があります。たとえば、皆さんご存知のとおり、イラク戦争の根拠は、イラクの独裁者フセインが、「大量兵器を保有している」「(9.11を起こしたとされる)アルカイダを支援している」でした。この二つの理由がウソだったことアメリカ自身も認めています。以下の記事を熟読してみましょう。

米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定

 

[ワシントン=貞広貴志]米上院情報特別委員会は八日、イラク戦争の開戦前に米政府が持っていたフセイン政権の大量破壊兵器計画や、国際テロ組織アル・カーイダとの関係についての情報を検証した報告書を発表した。
(読売新聞2006年9月9日)

報告書は『フセイン政権が(アル・カーイダ指導者)ウサマ・ビンラーディンと関係を築こうとした証拠はない』と断定、大量破壊兵器計画についても、少なくとも1996年以降、存在しなかったと結論付けた
(同前)

では、一体何が本当の理由だったのでしょうか? 諸説ありますが、FRBのカリスマ・グリーンスパン元議長は、こんな衝撃的発言をしています。

「イラク開戦の動機は石油」=前FRB議長、回顧録で暴露

 

[ワシントン17日時事]18年間にわたって世界経済のかじ取りを担ったグリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長(81)が17日刊行の回顧録で、2003年春の米軍によるイラク開戦の動機は石油利権だったと暴露し、ブッシュ政権を慌てさせている。
(2007年9月17日時事通信)

グリーンスパン元議長が、「米軍によるイラク開戦の動機は石油利権だったと暴露」した。これ、その辺の「トンデモ本著者」とか「陰謀論者」とは、重みが違いますね。この記事、ものすごく面白い続きがあります。

米メディアによると、前議長は「イラク戦争はおおむね、石油をめぐるものだった。だが悲しいかな、この誰もが知っている事実を認めることは政治的に不都合なのだ」と断言している。

 

ブッシュ政権は、当時のフセイン政権による大量破壊兵器計画阻止を大義名分に開戦に踏み切ったが、同兵器は存在しなかったことが後に判明。「石油資源確保が真の目的だった」とする見方は根強く語られてきた。
(同前)

グリーンスパンさんに言わせると、「イラク戦争の動機が石油利権だったこと」は「誰もが知っている事実」(!)なのだそうです。

もう一つ、比較的最近の例をあげておきましょう。2013年8月、オバマは、「シリアを攻撃する!」と宣言しました。理由は、なんでしたか? そう、「アサド軍が、化学兵器を使ったから」です。これに関連して、以下の記事、目をサラのようにして熟読してください。

2013年5月5日、AFP=時事。

シリア反体制派がサリン使用か、国連調査官

AFP=時事5月5日(月)配信

 

[AFP=時事]シリア問題に関する国連(UN)調査委員会のカーラ・デルポンテ調査官は5日夜、シリアの反体制派が致死性の神経ガス「サリン」を使った可能性があると述べた。スイスのラジオ番組のインタビューでデルポンテ氏は、「われわれが収集した証言によると、反体制派が化学兵器を、サリンガスを使用した」とし、「新たな目撃証言を通じて調査をさらに掘り下げ、検証し、確証をえる必要があるが、これまでに確立されたところによれば、サリンガスを使っているのは反体制派だ」と述べた。

どうですか、これ? 国連が調査した結果、化学兵器を使っていたのは、「アサド派」ではなく、「反アサド派だ!」と言うのです。

以上二つの例でわかることはなんでしょうか? アメリカは、イラクやシリアが「悪いことをしたから」攻撃するのではなく、「攻撃したいから」、後から理由をでっちあげた」のだ。つまり、最初に「攻撃したい」という「意図」があった。

私たちは、「アメリカは〇〇が悪いことをしたから仕方なく攻撃する」と考えている。つまり、「因果関係」が「正反対」になっているのです。

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