温泉のプロが暴露する「源泉かけ流し = いい温泉」ではない理由

 

ただし、どちらが清潔というものではない。 重要なのはあくまでも「管理」の状態であって、かけ流しであれば清潔とは言い切れないし、循環であれば必ず不潔であるとも言い切れない。 重要なのは、それぞれの方式にあった衛生管理であって、ここがなによりも僕の言いたかったことなのである。

もう一つ、源泉かけ流しを肯定しない人にありがちな意見が、「温泉だけが魅力のすべてではない」というものだ。 これは、要するに宿の雰囲気や料理、値段やロケーションとともに温泉が語られることが多いから、そのように発言する人がいると考えている。

確かに、温泉施設や温泉宿の魅力は温泉だけがすべてではないと思う。

しかし、「温泉の質」というものはそもそも絶対的な価値であって、料理や立地といった「温泉施設の質」というものとは別にして考えないといけない。 温泉施設の質に関しては確かに総合的なものではあるが、温泉そのものの(お湯そのものの、と言ってもいい)質というのは、料理や立地などで変わってしまうものではない。

では何によって変わるのか、といえば、清掃の手抜きや、循環ろ過の導入、塩素剤の投入によって変わってしまうのである。

だからこそ、管理が行き届いた源泉かけ流しを推奨しているというわけだ。

施設はボロボロだけど、温泉はすごくフレッシュで、ドバドバで、というところもたくさんある。 今も営業しているかどうか不明だが、那須の老松温泉などは施設はまさしく廃墟だが、お湯の質は見事なものである。

以上、温泉の質と施設の質を混同してはいけない、ということを書いてきたがでも、もちろん温泉も料理も施設もいいところが一番なわけで、拙著の巻末で紹介した施設は、基本的にそういうところばかりを100軒取り上げている。

この巻末の施設に泊まりに行きまくっているメルマガ読者の方もいて、これがなかなかに好評である。 拙著の内容は、自分からしても面倒くさい内容だが、巻末に紹介した施設100軒だけでも、ぜひ目を通してもらえると嬉しい

image by: Shutterstock

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