北朝鮮への攻撃で韓国も焦土に?トランプが動けない深刻な理由

 

アメリカの北朝鮮攻撃で、韓国は焦土と化す可能性

実を言うと、アメリカは過去にも北朝鮮攻撃の可能性を検討したことがありました。日本一朝鮮半島情勢に詳しい辺真一先生(コリア・レポート編集長)は4月10日、こんなことを書いておられます。

米国はクリントン政権時代(1992-2000年)の1994年に一度だけ、北朝鮮への攻撃を真剣に検討したことがあった。クリントン大統領は全面戦争という最悪のシナリオに備え1994年5月19日、シュリガシュビリ統合参謀本部議長らから戦争シミュレーションのブリーフィングを受けた。

シュリガシュビリさんの挙げた数字に、クリントンは仰天しました。

シミュレーションの結果は「戦争が勃発すれば、開戦90日間で

 

  • 5万2,000人の米軍が被害を受ける
  • 韓国軍は49万人の死者を出す
  • 戦争費用は610億ドルを超える。
  • 最終的に戦費は1,000億ドルを越す

という衝撃的なものだった。当時、極東に配備されていた在日米軍3万3,400人と在韓米軍2万8,500人を合わせると、約6万2,000人。なんとその約8割が緒戦3か月で被害を受けることになる。

 

駐韓米軍のラック司令官にいたっては「南北間の隣接性と大都市戦争の特殊性からして米国人8万~10万人を含め(民間人から)100万人の死者が出る」と報告していた。

(出所はこちら「米国は北朝鮮を攻撃できるか?『トランプ―金正恩』の『究極のチキンレース』」)

  • 米軍被害5万2,000人!
  • 韓国軍死者49万人!
  • 民間人死者100万人!

これは23年前、つまり「まだ北に核兵器がなかった時代」の話です。すでに核兵器を所有する北朝鮮。今戦争になれば犠牲者はどのくらいになるのでしょうか?

実際、北朝鮮は、「米軍が攻めてきたら【核】を使う!」と宣言しています。

北朝鮮、米国の挑発あれば核攻撃すると警告=労働新聞

ロイター 4/11(火)19:34配信

 

[ソウル 11日 ロイター]-北朝鮮は、米国による先制攻撃の兆候があれば米国に核攻撃すると警告した。米原子力空母などが太平洋西部に向かっているが、北朝鮮の機関紙、労働新聞は、米国によるいかなる攻撃にも反撃する用意があると表明した。

もう一度整理してみましょう。

  • 北朝鮮は、核兵器をもち、小型化もし、韓国、日本を「核攻撃」できる能力を持つと見られる。
  • 北朝鮮は、まもなくICBMを完成すると見られる。
  • すると、北は、アメリカ本土を「核攻撃」できるようになる。
  • アメリカは、これを座視することはできない。

ここまでが現状。では、なぜシリアを攻撃したように、「サクッと」攻撃できないのか?

  • 北朝鮮と戦争になれば、軍人50万人以上、民間人100万人の犠牲者がでると予想される。

もう少し、簡潔にまとめると、今の北朝鮮問題は、

  • 北朝鮮が、アメリカ本土を核攻撃できる能力をもつことを容認するか?
  • 韓国人が150万人犠牲になることを覚悟して、核兵器、ミサイルを破壊するか?

という、まさに究極の選択なのです(もちろん、「確実に150万人死ぬ」という話ではありません。実際は、あっさり金正恩政権が崩壊するかもしれない。あるいは、300万人死ぬかもしれない。戦争では何が起こるかわかりません)。

オバマであれば、決して北朝鮮を攻撃しなかったでしょう。しかし、「トランプならやるかもしれない」と思える。シリアのミサイル攻撃も、「誰も想像していなかった」ですから。

大戦争を回避して北から核とミサイルを撤去する方法はないのでしょうか? 長くなりましたので、次回考えてみましょう。

 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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