麻生氏も苦言。安倍首相に関わりが深い、第2の「森友学園」疑惑

 

そもそも、国家戦略特区というのは「国際的な経済活動の拠点を形成し、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とした仕組み」(3月8日、衆議院文部科学委員会での文科省答弁)である。

この趣旨に、岡山理科大の獣医学部設置がはたして、ピタリと当てはまるのだろうか。

そのスキームは、常識では考えられない行政の厚遇を前提としている。今治市は16.8ヘクタール、評価額36億7,500万円の土地を加計学園にタダで譲渡し、学校建設に県と市が最大96億円の補助金を支払う。しかも、工事を担当するのが加計グループ企業の「SID創研」とくる。何重にも加計グループに利益が転がり込む仕組みだ。

国家戦略特区の趣旨に必ずしも合致していない岡山理科大獣医学部新設のために、2016年11月9日の国家戦略特区諮問会議で、制度改正が決定された。

意見のとりまとめにあたった八田達夫有識者議員は次のように改正の中身を語った。

過去50年間、獣医学部は大学設置の審査対象から外されていた。今度はちゃんと告示で対象にしようということになった。

これに対し、日本獣医師会は農水省に「半世紀にもわたる獣医学教育の国際水準達成に向けた努力に逆行する」と抗議したが、もはや農水省文科省ともに聞く耳を持とうとしない

今治市はさっそく16年11月18日から1ヵ月間、獣医学部開設に関するパブリックコメントを募った。寄せられた意見の75%もが反対だったが、市はかまうことなく今治市土地開発公社から用地を購入するための補正予算37億円を12月27日の市議会で通してしまった

そして今年1月、内閣府と文科省は、この特区で一校に限り獣医学部新設ができるという告示を出し、申請者を募集。予定通り加計学園だけが申請したため、国家戦略特区諮問会議の議長である安倍首相は以下の発言をもって、加計学園の獣医学部設置を認可した。

1年前に国家戦略特区に指定した今治市で、画期的な事業が実現します。獣医学部が、来年にも52年ぶりに新設され、新たな感染症対策や先端ライフサイエンス研究を行う獣医師を育成します。

今治市にしてみれば、広大な土地を無償譲渡しても、人口流出による地域経済の衰退を食い止める手段になりうると踏んだのだろうが、今年に入って議会で「市が無償譲渡した土地を担保に加計学園が金を借りられる契約になっているのはおかしい」などと疑問の声が強まっているという。

それはそうだろう。誰が考えても、優遇され過ぎている。第二の森友学園疑惑といわれても仕方がないのではないか。

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