麻生氏も苦言。安倍首相に関わりが深い、第2の「森友学園」疑惑

 

風向きが変わったのは、安倍政権が成長戦略の柱として「国家戦略特区という別の名前の特区をつくってからだった。

構造改革特区は、従来の法規制などの関係で事業化が不可能なものを、特別に可能にする地域のこと。

これに対し国家戦略特区は、諮問会議のメンバー、竹中平蔵氏の説明によると、「今までの特区と異なり総理が主導し…国、地方、企業の3者統合本部でミニ独立政府のように決められる主体性を持った新しい特区」だという。

どうやら「総理が主導する特区」というところが、ミソらしい。たしかに国家戦略特区諮問会議の議長は安倍総理自身である。諮問する側のトップと諮問される側の議長が同じというのは実に奇妙なことではある。

しかし、この仕組みは、安倍総理の「腹心の友」にとっては、願ってもないことだった。

あれほど難攻不落だったのにいとも簡単に、今治市の提案する「獣医師養成系大学設置」、つまり岡山理科大獣医学部新設を内容とする特区指定が、OKになったのだ。それを決めたのが、安倍総理を議長とする国家戦略特区諮問会議というわけである。

安倍首相と加計氏は若いころ、アメリカの留学先で知り合った。30年来のゴルフ仲間でもあり、昭恵夫人も交えて会食をするなど、家族ぐるみで親しく付き合う間柄だ。

当然、加計氏が今治に獣医学部をつくりたがっていることを安倍首相は十分すぎるほど知っていたはずである。

この特区指定を契機に、今治市への獣医学部設置に向けて制度改正などの環境整備が文科省、農水省など関係府省の垣根を超えて着々と進められていった。

本来、農水省は獣医学部の新設には反対の立場だった。全国的に見て、獣医学部のある大学は16校もあり、当然のことながら卒業生は学校所在地に縛られるわけではない。

だから国全体として獣医師は足りているという認識だ。四国に獣医学部のある大学が一校もないからといって、地域的な理由で今治市だけを特別扱いするというのは、筋違いであろう。

加計学園・岡山理科大の獣医学部新設計画は、そんな論理とは無関係に、加計氏と安倍首相の思いから進められたと考えるのが自然だ。

そのために今治市を特区にしたのだという印象を薄める目的で、あえて西瀬戸自動車道(しまなみ海道)でつながる広島県も同じ特区に含めたのであろう。

広島県と今治市に共通する規制緩和の中身は、NPO法人の設立認証手続における申請書類の縦覧期間を、2か月から2週間に短縮するというものだ。

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