母国から逃げる人々
世界に目を向けると、「人が逃げている国」もあれば、「外国人がどんどん流入している国」があることに気がつきます。たとえば私が住むロシアの首都モスクワ。ここには、中央アジア(特に、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン)、コーカサス(特にアゼルバイジャン)、モルドバ、ウクライナなどから、たくさん人がきています。自分の国で仕事が見つからないので、モスクワにやってくる。
西欧を見ると、シリア、イラク、アフガニスタン、リビアなどから難民が押し寄せています。難民問題が起こる前は、貧しい東欧から豊かな西欧に人がどんどん移ってきていた。これが、イギリスの「EU離脱」に繋がったことは、記憶に新しいです。
アジアを見ると、中国や東南アジアの人たちは、日本を目指します。そして、世界中の人が、アメリカを目指します。こういうグローバルな人の流れをみると、「外国に出たい!」と国民が切望する国々の傾向が見えてきます。
「難民」は、「戦争や内戦が続いていて、自国に残れば、命が危ない」などの理由でしょう。しかし、普通「外国に出たがる人」は、外国に「仕事を求めて」いくケースが圧倒的に多い。だから、「自国民が外国に出たがらない」というのは、「自国で仕事を見つけることができる」ということで、むしろ喜ぶべきなのではないでしょうか?
日本の若者が海外に行かなくなった他の理由
これだけだと、「ずいぶん偏ってるな」と思われるでしょうから、他の理由も挙げておきましょう。
- 海外に行く金がない
これはあるでしょう。留学するのも、海外旅行するのも金がかかります。
- 時間がとれない
これもありますね。私の知人が結婚した時、「一生に一回、一週間の休暇をいただきました!」と喜んでいました。日本で長期休暇をとるのは、難しいのですね。海外行ってる時間がありません。
- 留学しても、就職に有利になるとは限らない
留学しても、就職に有利になるわけではないのですね。
- 海外は怖い
ここ数年、毎週のように「テロ」のニュースを聞きます。今では、ロシア人ですら、「ヨーロッパに行くのが怖い」というぐらい。欧州ですらこんな状況ですから、他の国に行くのは、もっと怖い?「安全な日本にいた方がいいよね」ということでしょう。
- 会社に忠誠心がない
これは、「海外赴任を拒否する若者」についてですが。最近は、「嫌です!」と断る若者が多いそうです。
わかります。昔は、「俺(社長)がおまえと家族を定年まで面倒見る。給料を毎年上げる」という話だった。それで、日本人は、「企業戦士」として、忠誠心をもって戦ってきました。
ところが今の企業は、「都合が悪くなったら、いつでもリストラするからね」です。それで、「最近の若者は愛社心がない!」と嘆いてもムダです。愛社心がなくて当然なのです。
「俺は、苦しくなったらいつでもおまえと離婚するが、俺を愛してくれよ!」といったら、「わかりました。死んでも愛します」と言うでしょうか?