保健所の担当者が発した一言に、ふぐ調理師が苦笑した納得の理由

 

友人の奥さんは医師。その奥さんが友人に語ったという話題。入院していた漆職人、医師が問診の際、やりとりの中でこんな話をしたという。

(漆の作業などで)部分を教えると誰でもすぐ出来るようになるが、全体を完璧に仕上げることはなかなか難しい。職人の世界ではそれを可能にするのが徒弟制度だ。だが、最近は時代に合わないのかそんな苦労までして技術を修得しようとする者は滅多にいない。医者の世界でも同じようなものではないか?

ということだった。医師である奥さんは、その患者が、自分の病気はのっぴきならない重いもので、ひょっとして木を見て森を見ない診療でもされたらたまったものではない、また親方の家で生活を共にしながら、すべての仕草をまねて技術を身につけてきた職人魂が骨の髄まで染みこんでいる者にとって、人間のからだを見るのに今の医術の修得方法でははなはだ心もとない、と暗に言ってるように感じてハッとしたいう。

医師である奥さんは更に、医師の世界にも徒弟制度のようなシステムは時に大切かもしれない、最近は患部を見ても、からだ全体や人まで診る医者は少なくなっていると…。

知識は学校でも図書館でもその気になれば身につけられる。しかし、単なる知識は伝えられても、真に体験・実証に裏付けられた知識知識に裏付けられた体験や技を伝えて行くのは至難なことだ。

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『安曇野(あづみの)通信』

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発刊以来10年、みすずかる信濃はアルプスの麓、安曇野を中心に信濃の光と風、懐かしき食べものたち、 野の花、石仏、植物誌、白鳥、温泉、そしてもろもろ考現学などを、ユニークな(?)筆致でお届け!

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