観測データを持たぬ御用学者に地震は予測できない【村井vs早川対談】

2017.05.11
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by よっすぃ~♪(まぐまぐ編集部)
 

観測データを持たない者は予測などできない

村井:とはいえ、巨大地震の直前にはGPSのデータにもこういう異常が出るのは、事実なわけで。われわれの夢は、その前兆をいち早く見つけて、地震の直前予測に役立てたいということなんですが、国土地理院のデータは2日遅れとか2週間遅れで提供されるので、直前の異常を察知できないんです。昨年からNTTドコモと組んで自前のプライベート観測点を立てているのは、この直前の前兆を捉えるためにリアルタイム型の観測をしたいという大きな目的があるからなんです。

早川:でも、そうなると自分でお金出さなきゃいけないでしょ?

村井:そうなんです。自前のプライベート観測点が1基で500万円ほど費用が掛かります。

早川:それぐらいはしますよね。

村井:それを今、全部で18基つくろうとしてるんですけど、そうなると諸々の経費も含めて1億円は下らないと。予算が全然ないなかで厳しい話ではあるのですが、なんとかやっていこうと。

早川先生は電波の領域で研究なさっているから分かると思うんですが、データというものは絶対にウソをつかないんです。でも地震学者は、データから前兆を調べてるんじゃなくて、あくまで前歴だけを調べてるんです。彼らは過去の前歴から確率モデルがどうこうって言ってますが、私に言わすとそれっていい加減で、どうでもいいような結論です。予測というものは、観測をすることで初めてできるのであって、観測データを持たない人は予測などできません

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早川:まったくその通りだと思いますよ。私のほうも阪神淡路大震災をきっかけに、どうも電離層という電波を反射する層が、大規模な地震が起きる前にどうも下がっているんじゃないかっていうことが分かったんですね。その後も調べていくうちに、VLFの電波を使ってこの電離層の異常を調べることで、地震の予知ができることがはっきりしたんですよ。

東日本大震災の時は、まだ情報配信をしていなかったんですが、異常が現れたのを事前に察知していたんです。こちらの地図を見ていただけると分かるんですが、調布からシアトルを結ぶこのパスの上で、3.11が起こってるわけなんです。

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このグラフは東日本大震災の前、3月5日と6日の調布からシアトルのパスなんですが、夜中の振幅が標準偏差の3~4倍を超えて下がっています。これはものすごく異常な動きなんです。それまでの研究で、このような異常が出ると1週間後には地震が起きるというのは分かっていたんです。統計的にそうでしたから。

ただこの時は、3月9日にマグニチュード7.2の地震が起きました。その時、地震学の先生たちは「東北地方ではもうこれ以上地震は起きません」と発言しているんですが、われわれの経験からいくと、前兆から3日後に起きるというのはタイミング的に早すぎるので、「これで終わりじゃないな」「この後にさらに大きなものがくるな」と考えたんです。

ま:実際、その後に3.11が起きたと……。

早川:そうなんです。地震と前兆との関係は、割り箸を両手で握って折り曲げるのをイメージしてもらうと分かりやすいんですよ。持った割り箸にゆっくり力をいれていくと、パチパチっと割れて、その後にバチっと割れますよね。この最後にバチっと割れるのが地震なんですが、その前にパチパチとひび割れが入る時に発生するのが前兆なんです。

VLF電波で分かる前兆は、そのパチパチとひび割れが入る時に発生するものと思われるのですが、われわれは他の電波も観測していて、VLF電波とは別に約1日前にアコースティックミッションという現象が現れるものがあるんです。先ほど村井先生は、大きな地震の前には前兆が2度現れるとおっしゃられていましたが、そういう意味では村井先生の話と私の話は完全に矛盾しないと思います。

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