日本もダマされるな。中国が仕掛ける「融資トラップ」という甘い罠

 

このように、中国は融資を餌や罠にして他国に拠点を次々と作ろうとしています。

かつてアヘン戦争によって香港が99年間イギリスの租借地になり、あるいは上海に租界が次々と作られたことを、今度は中国がやっていると見る向きもあります。かつての列強時代における租借地や租界は、清との不平等条約をもとに設立された、行政権や警察権を各国が持つ特別地区のことです。

中国にとっては、融資という武器によって、かつて自らが味合わされたように、他国に不平等条約を飲ませているつもりなのでしょう。習近平主席のいう「中華民族の偉大なる復活」には、復仇も含まれていると考えるべきです。

しかも、99年という租借期間ですが、中国人にとって99という数字は「久久」と発音が似ており、ほとんど永遠という意味になります。99年間の租借ということは、永遠に中国が支配するということを暗に宣言しているところもあるのです。

しかし中国のインフラ投資は世界各国で評判がよくありません。ミャンマーのミッソンダムは自然破壊を懸念する地元住民の反対でストップしています。また、ニカラグアの運河建設も同様に地元住民の大規模反対デモが繰り返されています。

アフリカの鉱山開発では、中国から刑務所に入りきれない死刑囚を作業員として連れてきて、さらにそれに帯同して料理人やホテルなどもやってくるため、現地に雇用を生まないどころか逆に奪い、さらに金も落とさないため、現地人からの恨みを買っています。アフリカで中国人を狙った襲撃事件が増えていることは、以前のメルマガで報じたとおりです。

また、一帯一路向けの投資にしても、リスクが高い割に収益率が高いため、民間企業は慎重で、その主役はほとんどが中国の国営企業となっています。2016年では、中国の直接対外投資に占める一帯一路沿線国向けの融資はわずか8%程度しかありません。

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国際金融については、香港は知識を持っていても、中国の北京政府はまったくの素人です。そのため、AIIBにしても、信用力が低いため無格付けでの起債をせざるをえず、単独融資はバングラディシュだけ、その他はアジア開発銀行や世界銀行などとの協調融資しかできていません。

しかも、中国の融資は、口で言っていたことが、いざ実行となると、かなり異なることも多いのです。兆円単位の経済協力を打ち出しても、それをいつ、どのように実現するかは明言せず、あくまで中国の都合次第となり、結局ご破算になることもよくあります。フィリピンやベネズエラの高速鉄道建設などは、結局、中国が途中で放棄してしまいました。

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また、いくら条約を明文化しても、「革命外交によって反故にするということも、歴史的に何度も行ってきました。一帯一路に対して、世界的な疑心暗鬼が高まっているのは当然のことなのです。

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