日本もダマされるな。中国が仕掛ける「融資トラップ」という甘い罠

 

中国の融資ほど危険なものはありません。たとえばスリランカのハンバントタ港は、中国の融資によって整備されましたが、融資条件が甘いかわりに6.3%と金利が高く、しかも完成後も需要が少ないため、スリランカ政府は中国からの融資返済が困難に陥りました。そこで中国はスリランカに対して、港の株式の80%を中国国営企業に長期貸与するよう要求し、結果、中国はハンバントタ港を99年にわたり管理運営できることになりました。

スリランカのハンバントタ港、中国企業が株の80%取得へ

このような中国のやり方は、「融資トラップ」とも言われています。金利が7~8%以上になることもあり、中国側は融資を受ける国が100年かかっても返済できないことを承知で金を貸し、後に接収して軍事利用することを目論んでいるわけです。もちろん中国にとっては、自国の過剰生産を処理するために一帯一路を利用するということも、目的のひとつです。

ハンバントタ港周辺に住む数千人の住民が強制退去を求められており、今年の1月には抗議デモで警察と衝突、多数の負傷者と逮捕者が出る事態になっています。抗議者らは「この地域が中国の植民地になろうとしている」と訴えていました。

スリランカ、中国企業の港湾管理に市民ら抗議、警察と衝突―英メディア

スリランカの港湾を99年間にわたり中国が支配する狙いは、インド洋に中国資本の港湾を次々と整備し中国の軍港化することで、宿敵インドを封じ込めるという、いわゆる「真珠の首飾り」作戦の一環とされています。

スリランカは、マヒンダ・ラージャパクサ前政権の時代に中国に傾斜し、関係を深めてきました。ハンバントタ港もその時代に決定したものです。加えて、ハンバントタ港のすぐ近くにも、中国の融資でマッタラ・ラージャパクサ国際空港が建設されましたが、1日に1、2便程度しかなく、ほとんど廃棄同然になっていることが報じられています。

いずれこの空港も中国のものになってしまうのでしょうか。

スリランカ、中国支援で開港の「第2の国際空港」が廃棄同然―米メディア

スリランカでは最大の都市コロンボの海沿いを埋め立て、国際金融センターをつくるという「コロンボ・ポート・シティー(CPC)」プロジェクトも、中国の国有企業主導で行われており、こちらも埋立地を99年間、中国国営企業に貸与することが決められています。しかも、治外法権を要求する動きも出ています。

中国企業、外国土地を次々「借り上げ」 治外法権要請も

スリランカだけではありません。

2015年10月には、オーストラリア北部準州が中国企業の嵐橋集団と、ダーウィン港を約5億豪ドル(約430億円)で99年間貸与する契約を結びました。ダーウィン港の近くには南シナ海情勢に備えるアメリカ海兵隊の駐留基地があり、しかも嵐橋集団は中国軍との関係も噂されているため、この決定に米豪関係は冷え込みました

豪、中国企業に北部ダーウィンの港湾を99年間貸与 海兵隊駐留の米国は反発

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