キッシンジャーが目指す「新世界秩序」とは?
さて、こんなキッシンジャーは、何を目指しているのでしょうか? 『キッシンジャー回顧録 中国 下』の一番最後は、「大平洋共同体にむけて」となっています。「大平洋共同体」とは、要するに、アメリカと中国で仲良く世界を支配しましょうということです。
周恩来首相と私が秘密訪問を発表するコミュニケで意見の一致をみた時、彼は「これは世界を揺るがすだろう」と言った。40年の時を経て、米国と中国が世界を揺るがすのではなく、世界を構築する努力に一緒に取り組めるようになれば、なんと素晴らしいことだろう。
この「大平洋共同体」、別の言葉で「G2」、中国式にいえば、「新型大国関係」といいます。
習近平がしばしば使っている「新型大国関係」という言葉。これは、キッシンジャーが発案したのですね。世界一の戦略家ルトワックさんの名著『中国4.0』には、
キッシンジャーが売り込んだG2論
とあり、キッシンジャーを厳しく批判しています。皆さんご存知のように、ルトワックさんは、「アメリカは、ロシアと和解し、中国に勝つべし!」という立場。一方、キッシンジャーは、「アメリカと中国が、世界を支配する」という立場。
トランプは当初、ルトワック寄りでしたが、徐々にキッシンジャーの影響が強くなっているようです。日本人は、このことをはっきり知っておく必要があります。
今回の話、あまりに「ザックリ」しているので、「あんまり説得力ないな」と思うかもしれません。しかし、メルマガという媒体では、これ以上詳細に書くことは難しいです。「ホントかな~~~」と思われた方は、『キッシンジャー回顧録 中国 上・下』をご一読ください。日本人は、アメリカの日本観、中国観について、
「日本は民主主義国家で、アメリカの忠実な同盟国。中国は、共産党の一党独裁国で、アメリカの敵」
と信じているでしょう? しかし、トランプの外交顧問であるキッシンジャーは、
「日本は、最悪の裏切り者。絶対信用できない国。中国については、『共同で世界を統治できる国』」
と考えていることがはっきりわかります。