文科省の逆襲。「総理のご意向」文書流出の裏に天下り規制の恨み

 

だが、話のついでに邪推をしてみるなら、官邸、もしくは内閣府と文科省との間に、今年になって発覚した天下り問題への対処をめぐるわだかまりが生まれ、それがずっと尾をひいているせいかもしれない。

2015年8月に退官した高等教育局長、吉田大輔氏が早大教授におさまった件をきっかけに火がついた文科省の組織的天下り問題。有名無実に近い存在だった内閣府の「再就職等監視委員会」が厳しい姿勢で調査に乗り出し、今年1月、前川喜平事務次官をスピード辞任に追い込んだ。

文科省が隠蔽工作。早大「天下りあっせん」事件のあっけない幕切れ

再就職等監視委員会は中立・公正の第三者機関を謳っているが、首相の権限委任を受けて内閣府に設置されており、タテマエはともかく、官邸の支配下にある。

前川事務次官の首を切る判断をしたのは安倍首相に間違いない。通常国会の本格論戦が始まる前にトカゲのしっぽ切りをしておきたかったということもあっただろう。第一次政権で国家公務員法を改正し省庁の天下りあっせんを無くするという触れ込みで再就職等監視委員会をつくった安倍首相が、この不祥事を利用して、改革者のイメージを高めようとしたようにも見えた。

前川氏の息のかかった官僚は、安倍官邸に決して良い感情を抱いていないだろう。加えて、大学の新設をコントロールしてきた文科省の権限を岩盤規制突破の御旗のもとに総理のトップダウンで奪い取ろうというのだから、良し悪しは別として、反発する者がいても不思議はない

加計学園について、簡単におさらいをしておこう。

安倍首相が「腹心の友」と呼ぶ加計孝太郎氏は、自らが率いる加計学園グループの岡山理科大学に獣医学部をつくるべく、今治市に計画を持ちこみ、遊休地利用による町おこしを考えていた同市はこれに乗った。

2007年から7年かけて計15回にわたり今治市が構造改革特区指定による獣医学部の新設を要望しても叶わなかったが、安倍政権が2014年新たに国家戦略特区を設けたことから状況が好転し、2015年12月、「広島県と愛媛県今治市」が全国で10番目の国家戦略特区に指定された。獣医学部実現への第一歩だった。

指定から9日後の12月24日クリスマスイブ、加計氏と安倍首相らがワイングラスで祝杯をあげている写真が安倍首相夫人、昭恵氏のFacebookに投稿されている。

問題となっている記録文書は、翌2016年の9月から10月にかけてのもので、この中身からうかがえる内閣府からの圧力によって、文科省は猛スピードで獣医学部設置認可に突き進んだ。

今年1月、内閣府と文科省は、この特区で2018年4月に開設する一校に限り獣医学部新設ができるという告示を出し、申請者を募集した。予定通り、加計学園だけが申請した。

事実上、他を閉め出す募集の仕方である。しかも加計学園の計画は、常識では考えられない行政の厚遇を前提としている。今治市は16.8ヘクタール、評価額36億7,500万円の土地を加計学園にタダで譲渡し、学校建設に県と市が最大96億円の補助金を支払うという。

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