中国が黒幕? 日本に拡がる「共謀罪はヤバい」という先入観

 

去る23日、政府与党は野党からの批判を受けながらも、衆議院で「テロ等準備罪共謀罪)」を採決、法案は参議院に送られました。民進党は参院審議入りを拒否していますが、そもそも前身の民主党時代に現在の自民党と同様の修正案を国会に提出していたのです。それを自民党が丸呑みしたら、今度は「条約批准には現行の法律でも対応できる」と態度を一変させたのです。

猛反対の民進、旧民主では「そっくり案」を国会提出の過去

だいたい、国際組織犯罪防止条約の締結は2003年に国会承認がされましたが、にもかかわらず、現在もなお締結に至っていません。もちろん民主党政権時代にも締結できず、だからこそ民主党も同様の法案を提出したわけです。

民進党の山井和則国対委員長は、このことについて記者団に問われ、「修正案でも国民の大きなリスクを拭い去ることはできず、ダメだとの結論に至った」と釈明しましたが、それでは、現行法でも国際組織犯罪防止条約の締結ができるとする民進党は旧民主党時代に締結ができなかった理由を説明すべきです。

習近平の最大の夢は「大中華民族の偉大なる復興」であり、それを実現するためにはスパイ活動を強化してきました。なぜならば、習近平政権は経済の衰退や権力闘争など、さまざまな問題を抱えているため、言論統制を強化する必要があるからです。

そのため、国内では民衆に対するスパイ活動を活発化させ、同時に国内のスパイ摘発活動を強化しています。一方で、海外でも自国の主張を浸透させるためのスパイ派遣を増強しています。CIAの情報によれば、過去に中国政府によって殺害されたアメリカのスパイは12人にものぼるといいます。

中国当局がCIA要員12人殺害 ニューヨーク・タイムズが報道

各国が国益をかけた諜報戦を展開しているなか、日本だけがスパイを送ることも取り締まることも必要ない」と主張するのは、あまりにも国際情勢を無視した考えです。日本の諜報能力を削ぐ一方で、日本における他国の諜報能力を強化させたいと考える人たちがいるとしか思えません。

いずれにせよ、拘束された6人の日本人が早期に釈放されることを望みます。

image by: plavevski / Shutterstock.com

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