効いているのか? 前川前事務次官が「個人攻撃」されだしたワケ

 

菅官房長官も異様な個人攻撃

それにしても、政治の側が寄ってたかってたたきに回っている姿には唖然とする。特に普段は冷静にみえる菅官房長官らが「前川氏は何度も出会い系バーに行っていた」などと個人をおとしめるようなことまで発言したことには驚きを禁じ得ない。かつて毎日新聞の西山記者が政府の秘密文書を官庁の女性から情を通じて入手したとあえて言及し、西山氏個人を攻撃するとともに情報価値を低くみせようと小細工したことを思い出す。

政権側がこうまでムキになって前川前次官を攻撃するのはやましいことがあるのか今後へのみせしめとしてたたいているのかと勘ぐりたくなる。

前川氏は証人喚問に応じてしゃべってよいとも言っているが、政権側は「辞職した人に聞いても仕方ない。文書の存在についても再調査しない」とすげない。だとしたら10年以上も拒否してきた認可をなぜ今回は認可に変えたのか。せめてその理由と事情を明かすべきだろう。

政府が潔白を言い張るなら堂々と国民の前で証人喚問を行ない両者の言い分を知らせるべきだろう。最近の「安倍一強政治は国民の感覚とはどんどん離れているのではないか。自民・公明の中から注文をつける人物がほとんどいないことも困ったものだ。「政治の一寸先は闇」という。驕りが過ぎると政権も高転びする危険があることを肝に銘じた方が良い。

「オレ様第一」から「公」の政治へ(Japan In-depth)

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ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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