ひっそり値上げ。缶ビールは「安売り規制」でいくらになったのか?

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6月1日より「改正酒税法」が施行され、これまでのような「原価割れ販売」が厳しく規制されます。これにより、どこで買ってもほとんど同じ金額になることから、「町の酒屋さんに活気が戻るのでは」との意見もあります。しかし、無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんは「総合的に見ると、一部の既得権益層を除き誰も得しない」と、厳しい見方を示しています。

酒の安売り規制開始。ビール類が1割以上値上がりした例も

「お酒を買うなら5月中、本日まで。明日6月より約1割値上がりします。お買い得価格でお買い求めいただけるのは本日までです」

東京都内のある食品スーパーでは、お酒の購入を促す録音音声を繰り返し放送していました。店員も同様のことを口にしながらビールなどを陳列していました。売り場には5月中に購入することを促す店頭販促(POP)が掲げられていました。

このスーパーでは5月31日と6月1日とでお酒の価格が大きく変わりました。例えば、350ml缶6本パックの税抜価格はビール「キリン 一番搾り」が1,000円から15.8%増の1,158円に、発泡酒「キリン 淡麗グリーンラベル」が708円から14.1%増の808円に、第三のビール「キリン のどごし生」が595円から10.6%増の658円に値上げされていました。

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6月1日から酒税法などの改正法が施行され、仕入れ代に販管費を加えた総販売原価を下回る原価割れ販売が規制されるようになりました。いわゆる「酒の安売り規制」です。これを受けてメーカーは値下げの原資となる販売奨励金リベート)を減らしているため、お酒の店頭価格が上昇しているのです。

キリンは他社に先駆けて1月からリベートの減額を開始しました。その結果、一部の店頭価格が上昇しました。同社の「2017年12月期第1四半期決算 決算説明会資料」によると、350ml缶6本パックの「キリン 一番搾り」のスーパーでの税抜価格は、1月以前は1,000~1,020円程度だったのに対し、リベートを減らした1月以降から4月まででは1,050~1,060円程度にまで上昇しています。他の大手ビールメーカーも見直しを進めています。

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