ただ、今後の販売数量は伸びる可能性があります。今後10年でビール系飲料の酒税を一本化するのですが、発泡酒と第三のビールは増税になるもののビールは減税になるため、課税数量で依然過半を占めるビールが全体を引き上げ、全体では販売数量が伸びる可能性があるからです。ビール系飲料の中でビールの割合は減っているものの、それでも課税数量は過半を占める稼ぎ頭です。
酒税の一本化はビール系飲料の販売数量が増加する要因になる可能性があります。一方、酒の安売り規制は減少要因になります。中長期的にはこの二つの要因のせめぎ合いにより売り上げが大きく左右されそうです。
短期的には売り上げは低下することになるでしょう。経済産業省が「酒類関連産業の動向と飲食消費行動の変化」を調べた調査では、家飲みのための酒類の購入先はスーパーとディスカウントストアが上位を占めていています。安売りしている業態で酒類を購入している消費者の実態が確認でき、「安さ」が購入の決め手になっていることがわかります。そのため、値上げによりお酒を敬遠する消費者は少なくないと考えます。
実際、キリンは1月からリベートを減らし店頭価格が上昇したことで、ビール系飲料の売り上げは減少しています。1~3月のビール系飲料の売上高は前年同期と比べ約7億円減少(0.6%減)しています。
価格の決定は本来企業経営の問題で国が規制するべきものではありません。公正な自由競争がなくなり、結果として市場が縮小してしまう可能性があります。全体のパイが小さくなってしまえば、メーカーや街の酒屋の首をも絞めることになるでしょう。市場縮小で税収が減ってしまえば国も損害を被ります。消費者も得することがありません。一部の既得権益層しか得しないのではないでしょうか。
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『女子大生のハンバーガー店経営物語』
(クリエイションコンサルティング)