【書評】多様性を認めるはずのリベラルが保守派を攻撃する矛盾

 

昨今、「リベラルの退潮」は著しく、そちらの陣営を気取る有識者の怨嗟が響きますが、冷静に見れば退潮ではなく劣化」です。

三浦瑠麗氏が「ワイドナショー」にまで呼ばれるのは、まともなリベラルがいなくなったからで、保守論壇が彼女を取りあげたのも、まともな議論ができる相手がようやく現れたからでしょう。オジサン好きするという理由もあるでしょうが。

数少ないまともなリベラル陣営と目する橘玲氏の『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』は、週刊プレイボーイの連載を再編集したもので、若干古い内容も含まれていますが、リベラルの立場からリベラルサイドの問題に切り込みます。

橘玲氏らしいシニカルな視点は面白く、見出し優先や言葉遊びなど、週刊誌連載ベースの弊害はありながらも、次々と話題が展開されるスピード感が、それを引きずらせることはありません。

なるほど、と唸り、ニヤリと片ホホが緩むことも多数。

歴史認識や日本社会についての見解の相違、とりわけ「天皇制」などはイラッとしつつも、ひとつの意見として受け止められるのですが、各所に見える保守や右翼への敵意や悪意が、劣化リベラルのようで残念です。

多様な価値観、そのための多様な言論を標榜するリベラルが、保守や右翼を多様な言論のひとつと許容するのではなく攻撃。本書のタイトルにある「うさんくさい」に、自らも引っかけている可能性も否定しきれませんが。

image by:  Attila JANDI / Shutterstock.com

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【著者】 宮脇 睦 【発行周期】 ほぼ 週刊

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