中国は尖閣を狙わない。安倍官邸が捏造した「島嶼防衛論」の大嘘

2017.07.05
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そこで、まさか米第7艦隊に勝てるとは言わないまでも、せめてその接近を拒否し、抵抗して到着を遅らせる程度の近代的な海軍力を持たなければ話にならないじゃないか、ということになった。それでまず、

1.ウクライナから旧ソ連製の中古空母を購入してこれを研究用・訓練用として運用しながら、自前の空母建造、やがて空母艦隊の創設に向かって走り始めた。それと同時に、

2.短・中距離ミサイル攻撃能力の増強にも励み、すでに日本・沖縄韓国、フィリピングアムまでの米軍基地を壊滅させるだけの力を備えたと言われる。米ランド研究所が15年に出した報告書(本誌No.815で既報)では、96年には台湾と韓国に届くDF-11、-15ミサイルを数十発保有するだけだった中国は、20年後の17年には、そのDF-11、-15は数千発、日本とフィリピンの全土に届くDF-21C、DH-10も数千発、グアムのアンダーセン米空軍基地に達するH-6などの中距離ミサイルは数百発を保有するに至っている。これによって、沖縄はじめ日本に米軍基地を前進配置しておくことはもはや意味がないどころか危険なだけだとする意見が、米軍事専門家の間でも上がりつつある。
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米ランド研究所の2015年時点の中国のミサイル能力向上予測

ランド研究所のレポートでは、中国が108ないし274発の中距離ミサイルを嘉手納空軍基地に向かって発射し、2本の滑走路にそれぞれ2カ所、直径50メートルの穴を空けられた場合、戦闘機が飛べるようになるのに16~43日、空中給油機が飛べるまでに35~90日かかると計算していて、つまり短期決戦型の限定戦争であればもう終わっているということである。しかしそれよりも何よりも、108~274発も撃ち込まれて、計4発は滑走路だが、残りの104~270発がすべて基地内だけに落ちると決まっている訳ではなく、いったいどれほどの県民が死ぬことになるのかは、同研究所は計算していない。さらに、

3.潜水艦搭載の海中発射の長距離核ミサイルの能力も格段に進歩させて、すでに実戦配備を始めたと見られる。既存の地上配備の大陸間弾道弾(ICBM)に比べて遥かに秘匿性の高いこのミサイル原潜は、海南島を基地に南シナ海の深海部からフィリピン南のセレベス海、東太平洋を活動領域としつつあって、南シナ海における軍事建設とそれをめぐる米国とのつばぜりあいはこのことに関連している。

3.は米国との間の基本的な核抑止関係の質的な深化を、2.は中米戦争の場合に米軍の後方出撃基地をことごとく叩くことを、1.は米第7艦隊と正面対峙することを、それぞれ目的としていて、日本をどうこうしようというつもりなど毛頭ない。これは北朝鮮のミサイルの場合も同様だが、中国は戦争になった場合の在日米軍基地を攻撃・壊滅させる作戦プランは持っているが、それ以外に日本に対して軍事的関心を持っていない。逆に言えば、米軍基地がなければ日本は中国からも北朝鮮からも撃たれる可能性はない

しかし、安保法制が出来て米国の対中国戦争や対北朝鮮先制攻撃などに日本が集団的自衛権を発動して参戦すれば自衛隊の基地もいざという場合の攻撃対象となる。奄美・琉球諸島のレーダー及び電波探知基地やこれから出来るはずの攻撃ミサイル基地は真っ先に壊滅させられるだろう。安倍首相は無茶なことをしたのである。

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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