今年に入って、この問題に意見を求められることが多かったのですが、奥というか、見えない部分が複雑過ぎて、簡単に語ることができませんでした。
そうすると、具体的に大きな事象が身近なところで発生して、次々に、放っておけない話を聞く機会が増え、こんなに降りかかってくるのは、私が大事な問題から逃げているからかな~と覚悟を決めて、私なりに書きました。
シンクロニティには、何らかの意味があると思うようにしていますから。
この問題は、今に始まったことではないのでしょうが、それを言ったら、「設計監理方式」の信頼を損ねるのではという懸念と、不公正な部分に、少なからず管理組合側の人間の関わっているケースがあることが、問題を複雑にしていました。
対応策も示さず、心配な情報だけを書いても管理組合が混乱するのではという思いもありました。
まず、頭に浮かんだのは、管理組合が適切な大規模修繕工事を実施できるよう専門家として管理組合をどう支援するかに最後まで心を砕いていたコミ研の名誉顧問の磯野さんの顔でした。
この問題、磯野さんが生きていてくれたら、何と言うかな…と。
数年前までは、バックマージン問題等のグレー部分があったとしても、管理会社任せにしないで、設計コンサルタントを入れることが公正で適切な工事を実施するために必要で管理組合のためだというのが、大きな流れでした。
私も、小規模マンションの費用負担と、設計コンサルタントを名乗る人の質の問題は気になりつつも設計監理方式を原則として、セミナー等でもお話ししてきました。
それは、設計コンサルタントは管理組合の立場でコンサルタントを行う専門家であるという信頼に基づくものです。
今回、この問題が表に出たのは、ひそやかにグレーに行われていたものが、ここ2、3年、当たり前のように表面に出てきて、多少のことはという許容を大きく超えることが起きてきているからだと感じます。
それはいいことだったと私は思います。
そうでなければ、表に出ませんから、問題を論じることもできません。
「多少のことはしかがたない…」というような、曖昧なものを排除するいい機会です。
専門家として誠実に仕事をしている設計コンサルタントのためにこそ、この問題ははっきりさせなければならないと思います。
ピンチはチャンスです。
それにしても、都知事選の最中に、信じられないような自民党議員の失言や奢りや、ウソとしか思えないような言い訳が表に出て、権力が一極集中することの怖さと、それに群がった人たちが自分の力を過信して、隠しておきたいことが隠せなくなる様子を見せられた気がします。
同じように、不適切コンサル問題も、一部にあまりにも開き直った奢った状況があったことが問題を表面化させたように思います。
何度も言いますが、これはチャンスなのです。
どこが、誰がという過去の犯人探しではなく、管理組合の信頼を取り戻すためのルールをしっかりつくり、今後、業界全体を正常化し、レベルアップをして頂きたいと、心から願います。
「マンション計画修繕における適正取引推進協議会」の成果に期待しています。
これで、この問題に関する記事を、一旦終わります。
なんか、ホッとしました。
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