いくら食べても太らない。「胃下垂」とはどういう状態なのか?

2017.07.12
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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「胃下垂(いかすい)の人は、たくさん食べても太らない」

こんな話、聞いたことはありませんか?

どうして「胃下垂」は太らないといわれているのでしょう。そもそも「胃下垂」とは、どういった状態なのでしょうか。

今回はこの胃下垂について、詳しくみていきましょう。

胃下垂ってどんな状態?

胃は本来、みぞおちのあたりに位置しています。胃下垂は、胃の下部が本来の位置より下がってしまっている状態で、ひどい場合には、骨盤内まで下がってきているということもあります。

そのような位置や形態に異常がみられる状態を「胃下垂」といいます。

胃下垂になると、胃が下腹部まで垂れ下がっているため、食べ物を消化し、腸に運ぶための「蠕動(ぜんどう)運動」が低下してしまいます。

その結果、腹部にさまざまな症状がみられることがあります。

また、胃下垂が太りにくいといわれているのは、蠕動運動が低下し食物の消化がきちんとされないことで、栄養を十分に吸収できないためともいわれています。

胃下垂の原因って?

胃下垂の原因はいまだにはっきりとは解明されていません。

胃壁を構成する「平滑筋(へいかつきん)」の緊張が低下することで胃が垂れ下がってしまう、加齢や姿勢、痩せている体型によって胃を支える筋力が低下し、胃が垂れ下がることも原因のひとつと指摘されています。

また、胃下垂は細身の人に多くみられますが、胃下垂だから痩せているというよりも、痩せているから胃下垂になる、という説もあります。

いずれにせよ、現在では胃下垂の原因はわかっていないのです。

 

胃下垂にはどんな症状があるの?

胃下垂によって胃の蠕動運動が低下し、胃の中に長く食べ物がとどまると、胃もたれを引き起こすことがあります。

ただ実際には、胃下垂だけでは何らかの症状がみられることは少ないようです。

胃の蠕動運動には、自律神経や消化ホルモン、食べ物の成分による影響など、さまざまな要素が複雑に関わっています。

そのため、ストレスや不規則な生活によって自律神経のバランスが崩れ、胃の蠕動運動が低下すること、胃を保護する分泌物が減ること、そして食べ過ぎなど、さまざまな要因が重なることで症状がみられることがあります。

具体的には次の症状が現れるといわれています。

・上腹部不快感

・腹部膨満感

・胃もたれ

・悪心

・食欲不振

 

胃下垂はどうすればいいの?

胃の働きは食生活や自律神経に大きく影響されます。

そのため、胃下垂の症状を緩和するには、毎日の食生活や日常生活に注意することが大切です。

次のポイントに気をつけて、胃の負担を軽減することで症状の緩和に努めるようにしましょう。

・自律神経を整えるため規則正しい生活をこころがける

・疲労をためすぎない、睡眠不足にならないよう質のよい睡眠を心がける

・食べ過ぎや遅い時間の食事を避ける

・香辛料など刺激が強い物、塩辛い物、脂っこい物といった胃の負担となる食品はできるだけ避ける

・胃の消化を助けるため、食事はよく噛んで食べる

これらの点に気をつけて生活していても症状が続く場合や、思い当たる原因がなく症状が続く場合は、胃下垂以外にも消化器疾患の可能性があります。

心当たりがある方は、一度内科や消化器内科に相談をしてみるようにしましょう。

 

執筆:吉村 佑奈(助産師・保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ

<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
助産師・保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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