わたしはスマホを持たない准高齢者である。還暦を過ぎてケータイを捨ててから、固定電話だけ。ネットがあるのだからそれで十分。妻もわたしもスマホの必要性を感じない。だから、この本でレポートされたスマホの害毒については、初めて知ったことが多かった。娘経由で知っていたこともあったけれど。
スマホで監視されるサラリーマンはお気の毒である。わたしの頃は「直帰」なる使い勝手に優れた用語もあったし、じっさい無能な不良社員もいたが、もうそんなお気楽はできっこない。最も深刻なのが学校関係のいじめだ。その章を読むだけでズーンと気分が落ち込んだ。学校関係者はこの本を読むのを義務とせよ。
子供が「見知らぬおとな」とつながっていることが、「身近なおとな」にはわからない、というのも怖い。筆者はあとがきの最後をこう結ぶ。「悲観したくないと思いつつ、私は少なからず危惧を抱いている。今ならまだ間に合う、そんな意識の一方で、あらたな現象が次々に生じる今に、あがないきれないような不安もまた覚えてしまう」。杞憂ではない。本当の破滅が来る…。
編集長 柴田忠男
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