高まる戦争の可能性
あなたが、ドナルド・トランプだったとしましょう。彼から見ると、金正恩は、「クレイジーな独裁者で、アメリカにケンカを売っている」ように見えるでしょう。つい最近まで、「ICBM実験が、レッドライン」と見られていた。しかし、金は7月4日、「ICBM実験」を実施した。これは、「ハワイ、アラスカに届く」と言われた。専門家は、「5年もするとアメリカ本土全体を攻撃できる能力を獲得するかもしれません」などと言っていた。ところが、「ニューヨークに届く可能性のあるICBM」の実験が行われたのは、5年後どころか、なんと25日後だった。
トランプは考えるでしょう。「このペースだと、1年後はどうなるんだ?」「5年後はどうなるんだ?」と。「北は、米全土を核攻撃できるICBMを、数十発持つことは確実だよな」と考える。つまり、「先延ばしすればするほど、事態は悪くなる」と。
今戦争を始めればどうでしょうか? 「日本や韓国は、攻撃されるだろう。特に、韓国人は『最低100万人死ぬ』と言われている。今ならアメリカは、無傷だろう。しかし、2~3年後なら、アメリカも無傷では済まない。やるなら今が最後のチャンスだ…」。こんな風に考えるかもしれません。
「戦争を始めたい」国内的な理由もあります。トランプは、「ロシア・ゲート」で追いつめられ、「弾劾」の恐怖に怯えている。戦争は、国内を一体化させ、「ロシア・ゲート」「弾劾圧力」を「無力化させる」可能性がある。しかし、「トランプが戦争を始めたせいで韓国人が100万人死んだ」となれば、非難は免れない。どうすればいいのか?
ルーズベルトだったら、こんな風に考えるでしょう。「まず北朝鮮に攻撃させればいい」と。そうすれば、戦争で犠牲者が出ても、「北朝鮮が始めたので、アメリカはいやいや戦争に突入した」となり、トランプが非難されることはありません。そして、「自衛戦争」は、「国際法で認められている権利」なので、「国連安保理」を通す必要がないのですね。
もう一つ、重要なファクターがあります。口でどう言おうが、中国、ロシア、「最大の仮想敵」はアメリカです。北朝鮮は、中ロにとって、便利な「緩衝国家」である。だから、戦争になれば、金正恩は、両国からの支援を期待できます。「支援の規模」にもよりますが、中ロが絡んだ「大戦争」に発展する可能性がある。
実際は、どうなるのでしょうか? トランプさんと側近の決断にかかっています。
※現時点では、大々的な「戦争不可避キャンペーン」は、始まっていません。アメリカでは、戦争を始める前に、「戦争が不可避であること」を国民に納得させるプロパガンダが行われます。現時点では、「北朝鮮がしたことの事実を伝えること」が報道のメインであるようです。