そこで北朝鮮がICBMを実戦配備するために越えなければならない今後のハードルですが、
- 固体燃料化
- コールドローンチ
- 移動式発射装置の国産化
- 3段式の実現
- 核弾頭の小型化
──といったところでしょうか。
1.固体燃料化
毒性や爆発の危険の問題から取り扱いが面倒で、1台の移動式発射装置あたりの随伴車両が30両も必要な液体燃料型に対して、燃料を組み込んだままの固体燃料型は取り扱いが容易なうえ、随伴車両も10両ほどですみ、兵器としての即応性や秘匿性にも優れています。北朝鮮も中距離弾道ミサイル「北極星2」の固体燃料の国産化に成功しており、技術的に難しいとされる大型の固体燃料の国産化を実現するのも時間の問題だと思われます。
2.コールドローンチ
高圧ガスなどでミサイルを発射したあと、空中でロケットエンジンに点火する方式で、もともとは潜航中の潜水艦から発射するために考え出されました。発射の時点でロケットに点火するホットローンチに比べて、陸上型の場合は移動式発射装置の発射筒を傷めないことから、発射筒から取り外すことなく発射できます。この方式だと移動式発射装置の使い回しが可能で、短い時間に複数のミサイルを発射することが可能になります。
3.移動式発射装置の国産化
北朝鮮がICBMを輸送し、発射地点で起立させるために使っているのは、中国製のWS-51200という16輪のトラックですが、少数を輸入したあと経済制裁の関係で入手できず、また国産化に至っていないため、北朝鮮はWS-51200を損傷させないようにICBMを地上に設置して、ホットローンチ方式で発射しています。これでは兵器としての即応能力や隠密性に欠けることは明らかで、移動式発射装置の国産化は是非とも越えなければならないハードルなのです。
4.3段式の実現
射程距離を伸ばし、命中精度を高め、複数弾頭化するための条件となります。
5.核弾頭の小型化
ICBMの再突入体の重量を、弾頭を含めて600~700キロ程度にする必要があり、その場合の核弾頭の重量はその半分以下になると思われます。