貯まる現金、回らぬ日本経済。挑戦しない国家に未来はあるのか?

 

まだ不支持の方が上

問題はこれからだ。支持率はどの調査でも数ポイント上がったが、どこもまだ不支持の方が10ポイント前後高いのである。低姿勢で国民に頭を下げ今後の努力を約束したのでしばらく様子をみようというのが国民の一般的姿勢であり、本音だろう。その意味で、1~2ヵ月後の世論調査が安倍政治に対する本当の回答になろう。

数字が上がった要因は、安倍氏に批判的だった野田聖子、河野太郎議員などを内閣に取り込み“批判を聞く姿勢”を示したからだろう。私が主張した小泉進次郎官房長官は実現せず、党の副幹事長就任だったのでインパクトは少なかった。小泉純一郎内閣で安倍氏を幹事長に抜擢したようなサプライズはなかった。

支持率が常識の範囲内の上昇に留まったのは菅官房長官、麻生副総理、二階幹事長らの旧秩序イメージの強い人物が中心に座ったままで、2世議員が目立ったことと「女性活躍」といいながら女性大臣は2人しかおらず、全体として清新さに欠けたからだ。国会答弁の安定さを求めてベテランを配したのだろうが、はつらつとした元気エネルギーに欠けた内閣構成とみられても仕方あるまい。

まだ強い旧秩序イメージ

今後の国会で失言や「記憶にありません」といった木で鼻をくくったような答弁が多く出てくるようだと国会は荒れ、国民も期待はずれだったという感想をもつことだろう。「信頼回復のため丁寧に答え、結果を出していきたい」と言明した以上、森友、加計学園問題や南スーダンのPKO日報問題などについて国会閉会中であっても証人喚問などに応じ、退任した稲田前防衛相の国会審査出席などにも堂々と参加させてゆくべきだろう。もしこれらを全て拒否するようであれば、今回の改造は疑惑隠しととられよう。

それと何より重要なことは、経済再生の政策を明確にし実行することだ。安倍首相は改造の度に「第一は経済の再生だ」といいながら、出てくる政策は日銀の金融緩和策と財政赤字を伴う公共事業による刺激策ばかりだ。金融政策は物価2%上昇を目標とした金融の量的緩和と低金利(ゼロ金利)政策ばかりで、実効はあがらず副作用が出始めている。財政政策は約束の消費税上げは延期が続き、財政均衡(プライマリーバランス)も遠のくばかりだ。

何より将来への期待が見えないため日本の存在感はみえなくなり株も上がらない。バブル時代は、マイナス面もあったが、国民は元気で、将来に夢を持ち世界からも日本は何かやってくれるという期待と存在感があって、これが株などを上げていたのだ。現在の株価(ダウ)は1990年前後の約半分程度これでは元気は出てこないだろう。

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