登場人物は、近畿財務局の池田靖国有財産統括官(当時)ら複数の職員、それに工事業者、籠池理事長(当時)夫妻、学園側代理人弁護士である。場所はこどもたちの声が聞こえるところから判断して、塚本幼稚園のようだ。
まず、籠池夫妻や代理人弁護士が値引きを要求し、その思いをぶちまけた。
諄子氏「絶対あれはタダで分けてほしい。私らは授業料を安くしてあげたい」
籠池氏「きれいになってへんかったんや。棟上げの時に首相夫人も来られるのにどうするの、僕の顔は」
学園の代理人弁護士「死ぬ気で値段を下げるよう取り組んでほしい。知恵を絞ってほしい。下げる理屈を考えないといけない」
「下げる理屈」というキーワードが出ている。これに対して、近畿財務局側は次のように話を合わせる。
財務局職員「3メートルまで掘ってます。その下のゴミは国が知らなかったので、そこはきっちりやる必要があるでしょうと…そういうストーリーはイメージしてるんです」
3メートルの深さまでは国が廃棄物を確認し、撤去費用を負担した。その後、校舎建設のため9メートルの深さまで杭打ちをしたら、新たなゴミが見つかったというのが森友側の主張だった。
むしろ抵抗を感じたようなのは工事業者だ。
工事業者「ちょっと待ってください。そこちょっと語弊があります。3メートル下から(ゴミが)出てきたかどうかわからないですとお伝えしている。認識を統一したほうがいいのであれば合わさせていただきますけども…」
ここからは、工事業者を財務局が説得するような流れになっていく。
池田統括官「資料を調整する中でどういう整理をするか、協議させていただけるならありがたいです」
工事業者「3メートル下からはそんなにたくさんは出てきてない」
財務局職員「混在と…9メートルまでの範囲で」
工事業者「9メートルは分からないですけどね」
学園代理人弁護士「そこはもう言葉遊びかも知れないですけども、9メートルのところまでガラがある可能性を否定できますか、否定できないでしょ。そういう話なんです」
学園と近畿財務局からの説得に業者側がついに折れた。
工事業者「その辺はうまくコントロールしてもらえるんでしたら、われわれは資料を提供させていただきますんで」
それでも、国側はやはり多少の後ろめたさがあるのだろう、こう念を押した。
財務局職員「虚偽のないようにというのが大事なので、混在してると。ある程度3メートル以下の所にもあると。ゼロじゃないということです、ね」
むりやり業者を言いくるめる。
工事業者「あると思います」
財務局職員「その辺のところでつくりたい」
学園代理人弁護士「責任問題に発展しないようにがんばっていただけると信頼している。半分は我々のために。半分はご自身のために頑張ってください」
下手をすると、責任問題に発展しかねないという共通認識は、あったようだ。
つまり、悪巧みなのである。
地下9メートルにこだわるのは、その範囲の埋設物やゴミの撤去費を算出すれば8億円を超える額になるからだ。
その分を値引きすることで、土地の売価がちょうど、国が負担した地下埋設物撤去費1億3176万円を少々上回る程度の金額になる。こうして1億3400万円という払い下げ価格が決定したのだ。