ビットコインに手を出した人に、お金を貸してはいけない理由【中島聡】

 

たまに「パチンコで食べている」と豪語する人がいますが、これもほとんどの場合は方便です。パチンコは、全体で見れば(店の利益の分だけ)負のリターンがあるので、ゼロサムゲームどころか、必ず損をするように出来ているのです。パチンコは、その射幸性により「儲けることが出来るかも知れない」という幻想を作り出し、依存症になった弱者からお金を搾取する悪質な商売以外の何者でもないのです(韓国がパチンコを法律で禁止したのは、それが理由です)。

では一般の通貨はどうでしょうか?お金は銀行に預けると、金利というリターンが着くので、表面上はゼロサムゲームではありません。しかし、実際にはインフレ(物価の上昇)によりお金の価値は毎年少しづつ下がるので、金利=インフレであればゼロサムだし、金利<インフレであればマイナスのリターンです。

最悪なのが、現金で持つ「タンス預金」で、銀行預金と違って金利がつかないので、物価の上昇分だけ毎年目減りすることになります。つまり、通貨そのもの(現金投資対象とは言えないのです。

自国の通貨ではなく、他国の通貨(例えば、日本人にとっての米ドル)はもっと複雑です。為替は日々変化する上に、金利も国ごとによって違います。その結果、他国の通貨を使った資産運用は、本質的に相場の変動を利用して利益を得ようとする短期的な取引であり、「投資」ではなく「投機」と呼ばれます。「運」に左右されるため、基本的にはギャンブルと同じです。

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