ビットコインに手を出した人に、お金を貸してはいけない理由【中島聡】

 

80年代の後半に、日本には不動産バブルがありました。当時、日本の不動産は、(家賃収入から計算できる)本来の価格を大幅に上回って取引されましたが、その時ですら、バブルで膨らんだ部分は、高々8割(つまり適正価格の4倍程度であり、バブル崩壊後も不動産価値はゼロにはなりませんでした

それと比べると、ビットコインには(株や不動産のようにリターンから逆算できる)「適正価格のようなものは存在しないので、上昇する時はどこまでも上がりますが、下降する時にはゼロまで下がっても全く不思議はない特殊な存在なのです。

もちろん、ビットコインのバブルがこれから何年間も膨らみ続ける可能性は十分にあるし、今から参入した人でも、良いタイミングで売り抜けることさえ出来れば大儲けをすることが出来るかも知れません。でも、長い目で見れば、(配当や家賃収入のような)リターンのないビットコインは、利ざや稼ぎをした人の裏には必ず損をする人がいるゼロサムゲームなのです。

私自身は、こんなバブリーなものには決して手を出さないし、友達や親戚に相談されたら「やめておいた方が良いと断言します。それでもどうしても「ビットコインで儲けたい」と主張するのであれば、ギャンブルだと覚悟して「万が一ゼロになっても困らないお金」で購入すべきだと教えてあげますが、同時にその人たちを「決して金を貸してはいけない人リスト」に加えます。

image by: Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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