【書評】盗まれたノーベル賞。日本人の発明を横取りしてきた米国

 

日本が降伏するとアメリカから知的財産窃盗団が押し寄せた。火傷や銃創に強い治癒効果のある「中村菌」や、帝国海軍の生み出した造波抵抗を半減するバルバスバウのノウハウを奪った。後者はいまアメリカが特許を持つという。農務省の技官は小麦「農林10号」を盗み、アメリカで画期的成果をあげ、その改良種は収穫量で「緑の革命」と呼ばれる奇跡を生み、ノーベル平和賞を得る。

先祖が奴隷商人だったルーズベルトは人種差別意識が強かった。「日本人の頭蓋骨は白人に比べ2,000年遅れている」と周囲に語るが「彼の部下の多くは、日本人の頭脳が少なくともルーズベルトよりは勝っていることを知っていた」

司馬遼太郎が口を極めて罵った「ノモンハン惨敗」は、93年にグラスノスチで史料が公開されるまで日本人は知らなかったが、日本軍は航空戦でソ連機を残らず撃墜し、地上戦でも戦車の過半数を破壊、ソ連軍の将兵の3割、2万数千人を死傷させての勝利であった。しかし、いまだに日本惨敗と言う人が多い。

わざわざ現地まで行って「ノモンハンで何一つ教訓を学ばず、南方で同じ失敗を圧倒的規模で繰り返した」と、いま思うと気の毒なくらい的外れなことを書いたあの人は、今年もノーベル文学賞を与えられなかった。だが、本当にあの人が候補だったのだろうか。カズオ・イシグロでよかった。映画『日の名残り』『わたしを離さないで』を見た。いい作品だった(文学は読んでいない)。

なぜ『サンデルよ、「正義」を教えよう』なのか。正義を売り物にするハーバード大学のサンデル教授、商売は阿漕に、金持ちは命を惜しむもの、それを正義で包むのがやり口というお方。タイトルに持って来るほどの大物ではないし、たいした話ではない。『ウソつき新聞は今日も健在』のほうがいい。

編集長 柴田忠男

image by: Ryan Rodrick Beiler / Shutterstock.com

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