SNSは、離れた場所にいる人とも瞬時につながれる便利なツールとして、現代社会に欠かせない存在となりました。しかしその一方で、「つながっているのに孤独を感じる」という矛盾した感覚を抱える人も少なくありません。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイー河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者の河合薫さんが、SNS時代の孤独とコミュニケーションについて考えています。
心を温めるコミュニケーション
SNSでの交流は「孤独」を深めるーー。
孤独問題が世界で深刻化する中、米公衆衛生局の「パブリックヘルス・リポーツ」このような研究結果が掲載されました。
30~70歳の米国人1500人以上を対象に、アンケート調査を行ったところ、「SNSでつながっている人のうち、実際に会ったことのない人の割合」が高いほど「孤独感」が高く、また、SNSで親しい友人と多くつながっていても、孤独感が軽減されるわけではなかったそうです。
研究を行った米オレゴン州立大学の公衆衛生学教授、プリマック博士はSNSでの交流を、「リンゴの代わりにリンゴ味のシリアルを食べる」ことに例え、こう指摘しています。
「リンゴ味のシリアルはお腹を満たし、カロリーもあり、おいしくもある。だが、我々が進化の過程で必要不可欠となった本質的な要素は提供してくれない」。
言い得て妙ですね。
他者とつながることで生き残ってきた人間にとって、つながるとは「共感」であり、「信頼」を結ぶこと。
同じ空間で相手と対面し、視覚・聴覚・臭覚・味覚に訴える言葉だけでは表現できない、何百もの情報のやりとりが「人の心を温めるために不可欠」です。
件の調査が明かしたのは「テクノロジーの限界」であり、人にとって本当に大切なものは、「目に見えない」リアルなつながりの中にあるということです。
しかし一方で、孤独対策に活用されているのが「SNSを利用した相談」です。
これはSOSを拾い上げる「命綱」として機能する半面、孤立を根本から解決する「ぬくもり」までは届けられないという、もう一つの限界も内包しています。
また、高齢や病気で、外出が制限される場合もあります。
そうなるとSNSは外の世界を覗く「唯一の窓」になりますが、ただ情報を眺めるだけのつながりでは、かえって取り残されたような深い孤独を呼び寄せてしまうのか? あるいは、その負のリスクを解消させる効果があるのか?
孤独とSNSに関する研究は、さまざまな角度から知見が蓄積されてつつあるので、これらの問いの答えもいずれあきらかになることでしょう。
ただ、個人的には、たとえ病気になろうとも、高齢になろうとも、他者とリアルでつながるための「知恵」を、「人」はいつまでも手放さずに持ち続けていて欲しいです。
みなさんのご意見、お聞かせください。
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