習近平の訪米も影響?中国サイバースパイを制裁できない米政府

 

その本当の理由は、中国の企業・個人をサイバースパイとして制裁した場合、中国の反撃で米国の被害が広がることを局限する見込みがないためである。

オバマ大統領は9月11日、メリーランド州フォート・ミード駐屯地の対話集会で次のとおり発言した。フォート・ミードは米サイバー軍や国家安全保障局(NSA)の本部の所在地である。

「サイバー攻撃が増加すれば、ある時点で米国はそれを国家安全保障に対する中核的な脅威と認識し、対処するようになると、サイバー攻撃を支援している可能性のある国家に理解させることを最優先する」

「米国はサイバー攻撃を競争の土俵にして相手を打ち負かすこともできるが、サイバー攻撃はどの国のためにもならないという国際合意が得られれば、国際的な交通規則を作ることもできる」

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オバマ大統領は、現状程度のサイバースパイ行為とサイバー攻撃は、中国との間で制裁と攻撃の応酬に至った場合に、米国の経済・軍事・情報活動が被る損害と比べれば、「国家安全保障に対する中核的な脅威」でなく、「競争の土俵」にするほうが損害が大きくなる、という認識を示したのである。

静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之

image by: Drop of Light / Shutterstock.com

 

『NEWSを疑え!』第429号より一部抜粋

著者/小川和久(軍事アナリスト)
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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