小池にハマり、「進次郎」に転がされた衆院選メディア報道

 

この選挙戦で安倍首相は小池批判を封印した。野党の安倍批判を、「愚直に政策を訴える」という姿勢でかわすためだ。10月10日、福島での公示後第一声で野党にふれたのはこれだけだった。

この選挙、相手は共産党、社民党と一緒になって私達を倒そうとしている。どういう日本をつくろうとしているのか。

相手とは当然、立憲民主党のことだ。希望の党とか小池代表の名は出てこない。演説の中身の多くは北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題への取り組みに割かれた。

10月20日、神奈川県厚木市での街頭演説では、「自民党が政権を失った時、決して看板を掛け替えようなんて考えなかった」と、希望の党へ一部議員がなだれこんだ民進党を批判した。だが、この時も希望の党や小池氏の名前は出さなかった

小池批判は小泉氏が引き受けたように見えた。これが実に言葉巧みだった。そのためにテレビ各局が食いつき、その後クセになった。

テレビ番組が最初に取り上げたのは、9月28日の衆議院解散後、報道陣に小泉氏が語ったこの発言。

小池さん、(衆議院選に)出てきてください。…小池さんが選挙に出て戦ってくれた方が、有権者も分かり易い。(二足のわらじではなく)一つの靴を履いて、出てきてください。

10月1日の東京都練馬区での演説では、小池氏の苦境をからかってみせた

都政を投げ出す無責任。逆に、出なければ出ないで無責任。なぜか。せっかく民進党をなくしたのに、出てくれないんですか。出ても無責任、出なくても無責任の、無責任のジレンマに陥った。

さらに選挙戦初日の10月10日、東京・JR池袋東口の街頭演説では、「感謝」というゆとりの言葉で、希望の党の迷走ぶりを冷笑した。

小池さんに心から感謝をしたい…1つは、自民党に野党時代を思い返す良い機会を与えてくれた。私達に緊張感を与えてくれた。…選挙目当てにいろいろやっても、有権者は見抜くという事。ありがとう。

期待通り、小泉氏は全国20都道府県70か所をまわり、人たらしとも思える「千両役者」ぶりを発揮した。紋切型ではなく、当意即妙の話しぶりで、街頭演説の聴衆を魅了した。メディアは小泉氏から片時も目が離せなくなった

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