小池にハマり、「進次郎」に転がされた衆院選メディア報道

 

小泉氏は自民党の筆頭副幹事長である。二階俊博幹事長のもとには、幹事長代行が1人、幹事長代理が3人いて、その下に副幹事長が小泉氏を含め24人いる。つまり、本来なら小泉氏は、メディアからあたかも自民党を代表するような取り扱われ方をする立場ではない

稀有なタレント性ゆえに、選挙中であるにもかかわらず不公平そのもののスポットライトを浴びる。都知事選でジャンヌダルクのように敢然と立ちあがった小池百合子氏も同じように扱われ、話題をかっさらってブームに乗った。

こんどは小池氏が、アイドルのごとく騒がれる小泉氏のシニカルな「口撃」を浴びる立場になってしまった。さぞかし、下村博文氏、石原伸晃氏、萩生田光一氏ら自民党東京都連の連中は脳内に快感物質があふれただろう。

さて、小池百合子氏の自滅と、小泉進次郎氏のパフォーマンスで圧倒的な勝利を手にしたように見える自民党に、死角はないだろうか。

これで自民党が信任されたと高をくくっていたら、実態と甚だしく乖離する。自民党への批判票が野党の分裂で割れたため、自民党に実力以上の議席が転がりこんできたにすぎない。

野党統一候補が立っていれば、自民党は単独過半数を維持することさえできなかったはずだ。朝日新聞の以下の記事が参考になる。

「立憲、希望、共産、社民、野党系無所属による野党共闘」が成功していればという仮定のもと、朝日新聞は独自に、各選挙区でのこれらの候補の得票を単純に合算する試算を行った。その結果、「野党分裂型」226選挙区のうち、63選挙区で勝敗が入れ替わり、与党120勝、野党106勝となった。

実際には国民の気持ちが安倍政権から離れてかけているというのに、自民党はさまざまな要因が重なって大勝した。

そのため、かえって総裁交代の動機を失い党刷新の機運はしぼんでしまう。むしろ深刻な状況に立ち至ったと見ることもできよう。

当選者が予想以上に多かったのはうれしいだろうが、それが党の将来にとってどうなのか。「より謙虚に」と口をそろえても、すこぶる怪しい。

安倍首相の森友加計学園疑惑は説明が足りて晴れぬ限り追及され続けるだろう。アベノミクスによる出口戦略なき金融政策は是正されず、経済破綻のリスクは高まるだろう。次に自民党が瀬戸際に追い込まれるときには、押し返す余力は残っていないかもしれない。

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