韓国政府がトランプ氏にも「告げ口外交」、日本がとるべき態度は?

 

トランプ大統領は、11月7日から1泊2日で韓国を訪問しましたが、韓国ではこれに先立ち、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が、先月30日に国会で「三不政策を言明したことで、トランプ大統領との関係が悪くなるのではないかという懸念がささやかれています。

この「三不」政策とは、悪化している中韓関係の改善のため、「韓国は米国のミサイル防衛(MD)体系に入らない」「韓日米安保協力は軍事同盟に発展しない」「THAADの追加配備はせず、韓国にすでに配備済みのTHAADは中国の安保利益を損なわない」という3つの立場を明らかにしたものです。

「THAAD葛藤中断」の手形を切り、「三不約束」の巨額小切手を手に入れた中国

中国側はさっそくこの表明に対して、「韓国はこの『3つの約束』を守ることを望む」とコメント。しかし韓国側が「『約束』ではない」と問題提起したことで、中国側は「3つの立場表明」という表現に変更しました。

「約束」だろうが「立場表明」であろうが、トランプ大統領の訪韓直前にこのような発言をすれば、どのような影響が出るかはわかりそうなもので、文在寅政権の外交センスを疑いますが、アメリカのマクマスター大統領補佐官は2日、「韓国がその3つの領域で主権を放棄するとは思わない」と発言して韓国を牽制しました。

韓国メディアもさすがに多くが苦言を呈しました。とくに保守系の朝鮮日報は、韓国の主権事項、しかも最も敏感な軍事主権に中国が影響を与えた事自体が、すでに主権が損なわれたことを意味する、と論じました。

【社説】「約束」であれ「立場表明」であれ韓国の主権は損なわれた

また、同紙は社説で、文在寅大統領が掲げる「アメリカとの外交も、中国との関係も重視する」という「米中バランス外交」を批判し、「このままではトランプ大統領が北朝鮮で行動するときには、まず安倍首相と相談するようになり、韓国とは完全に順序が逆になる」と危機感を露わにしました。

【社説】最高の親密さをアピールするトランプ大統領と安倍首相

しかもソウルではトランプ訪韓の7日から100件以上の集会の届けが出ており、そのほとんどが反米デモだということです。韓国ではかつて朴槿恵大統領を弾劾するためのロウソクデモを親北派が主導していましたが、彼らは再び米韓の離反を目論んで、反トランプデモを仕掛けようとしているわけです。

また、こうした反米デモをきっかけに、2014年に解散を命じられた極左政党の統合進歩党の復活や、内乱扇動罪などで逮捕された極左議員・李石元の釈放を求める運動が活発化する動きもあるそうです。

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