数百万の借金、自殺未遂も。経験者が語るアルコール依存症の実態

 

私は1961年、大阪府堺市に生まれました。家族は皆喜んでくれ、とりわけ母からは、「私の自慢の息子や」と事あるごとに聞かされ、何の不自由なく育てられました。

そんな私が、酒が原因で最初に問題を起こしたのは、大学寮の新入生歓迎会で大量の飲酒をした時でした。その深夜に泥酔した状態でバイクに乗った私は、タクシーと衝突事故を起こしたのでした。

就職してからも、毎晩のように飲み歩くようになり、目を覚ませばいつも裸に近い状態で駅前や公園でひっくり返っているのですが、自分が何をしていたのか全く覚えていません。その度に自責の念に駆られるも、現実から逃れるためにまた飲酒するという日々の繰り返しでした。

給料はもらった日にすべて酒代に消え、借金は瞬く間に二百数十万円に膨れ上がりました。両親に初めて借金を返済させたのはその二百数十万円です。

その後、大手運送会社に転職しましたが、収入が増えたことで気が大きくなり、飲み方は一層ひどくなりました。また、29歳の時に結婚するも、毎日泥酔して朝方に帰宅する、飲酒を注意されれば暴力をふるう、という状況が続き3年後に離婚しました。

結局、35歳の時に六百数十万円の借金をつくり、「もうあかん」と、梅田のホテルにチェックインし、大量に酒を飲み、屋上から飛び降りようと自殺を決心しました。

飲酒後、意識を失ってしまったようで、フロントからの電話で目を覚ました時には数日経っていました。フロントには母からの一通の封書が預けられており、現金と「誰もあんたを怒ったり責めたりしないから安心して帰ってきなさい」という手紙が入っていました。死にきれず、私はまた母に助けを求めました。

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