ユニクロ社長の座を蹴った男が仕掛ける「ファミマ」大改革の全貌

 

人に寄り添う~働き方改革&進化系コンビニ

ファミマの本社では、澤田が社長になってから毎週行われる会議がある。店舗の業務を改革するための会議だ。

この日、議題に上がったのはマニュアルの厚さ約1000ページあるというマニュアルに、「毎回聞いてぶちきれそうなんだけど、誰が読むんだよ」と澤田。「目標100ページくらいにしてくれない? 店舗はシンプルにしてくれない?」と言う。

澤田が店舗の負担の軽減に熱心なのには理由がある。実は澤田、社長就任を前におよそ3週間、実際に店舗で働いた。そのとき、店舗スタッフの業務がいかに大変かを身をもって知ったのだという。

「これは絶対、俺には無理だな、と。もっともっと簡単にして、今日入った人ができるようにオペレーションをしてあげないといけない」(澤田)

そこで始まったファミマの働き方改革。スタッフにとって最も大変で、かつ気を遣うのが食品の撤去作業。1日6回、消費期限の2時間前に撤去するのが決まりだ。以前は一つ一つ消費期限の欄を見て逆算していたので、確認に時間がかかった。ところが今は右上に新たな表示を加え、一目でわかるようにした。これだけで作業時間はほぼ半減したという。

宅配便の受付も改善した。以前はレジの手順が複雑で時間がかかるため、お客からのクレームが多かった。でも今は、新人のバイトでもまごつかないよう、画面の案内を分かりやすくした。その結果、待たせる時間が減り、クレームも減ったという。

しかし、澤田を悩ませていたのはもっと根本的な問題だった。澤田が真剣に見つめていたのは全国の加盟店から取ったアンケート。回答を寄せたのは5217人。この規模の調査はファミマでは前例がない。そこからは加盟店の悲鳴が聞こえてきた。全国のファミマの実に8割の店が人手不足に苦しんでいることが判明したのだ。

人手不足解消を担う澤田の直轄部隊、改革推進室室長の植野大輔。東京・練馬区の練馬上石神井四丁目店を調査で訪れると、「おかげさまで、人員について困ったことが一度もないです」という意外な答えが返ってきた。その秘密を八木泰樹店長に聞くと「最短は週1回2時間から、というシフトもあります」と言う。

通常の募集広告は、勤務時間として9時~17時などと書いてあることが多い。「時間応相談」とあっても、これでは9時から5時まで働かなければいけないと思ってしまう。しかしこの店では「2時間でもOK」と明示した。すると近所の主婦が気軽に応募してくるようになった。2児の母・齋藤めぐみさん(45)は、週3回、午前中だけ働いている。

「子供も学校が近いので、何かあってもここは来やすい場所なので。熱が出て学校から電話がかかってきても、『すみません』と抜けて行けます」と言う。さらに先日、中学生の息子さんが同店で職業体験。一緒に働くことで親子の絆も深まったという。

ファミマはさいたま市であるイベントを仕掛けた。壇上の澤田の前には、女性ばかり90人。さいたま市に暮らす主婦たちだ。

澤田は今後2年で主婦10万人を採用する計画をぶち上げた。働きたい気持ちはあるが、家事や子育てなどの制約を抱える主婦たち。質問にベテランスタッフたちが直接答えることで不安を取り除き、ファミマで働く気になってもらいたいと、初めて開催した。

スタジオで「コンビニはアナログ人に寄り添う地域の人たちに尽くす存在になっていく」と語っていた澤田。

たとえば東京・大田区のファミリーマート+カラオケDAM蒲田南口駅前店ではファミマとカラオケ店が合体、地域のオアシスになっている。一方、大阪府吹田市には商店街の活性化に役立つファミマもあった。吹田栄通り商店会店では、2階のイートインのスペースを、地域の様々な活動に使ってもらおうと無料で貸し出している(予約制)。子供向けの「お笑い教室」や「青春クラブ」「がんサポート」「婚活親の会」などというのもある。

「皆さんにどんどん来ていただいて、商店街も良かったしファミマも良かったお互いに繁栄して、頑張って吹田の街を賑やかにしていきたい」(栄通り商店会・阪田孝次郎会長)

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