「お茶」という非常に身近な飲み物を、全く新しいかたちで売り出している企業が注目を集めているようです。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、「富裕層向けのギフト」として高級茶をワインボトルに入れて販売している「べネフィッティー」の戦略・戦術を分析しています。
新しい使い方の提案
高級ボトリングティーで人気の企業を分析します。
戦略ショートストーリー
ギフトを贈る方や富裕層をターゲットに「独自の技術」に支えられた「旨味、甘み、香りが強い」や「ギフト用やパーティーに合う」等の強みで差別化しています。
原料や製法だけでなく、高級感を演出すること(ワインボトルに入れる、百貨店を販路にするなど)にもこだわることで、新しい飲料として顧客の支持を得ています。
■ 分析のポイント
新しい使い方の提案
2万円もするお茶と聞いて、あなたはどう思いましたか? 正直、私は驚きました。お茶のペットボトル(500ml)は、コンビニや自販機で100円前後で売っていますし、味もおいしいと思っていたので、2万円もするお茶をどうやって売るのか、2万円も出して買う理由を、どのように作ったのか非常に興味がわいたので、調査・分析してみました。
まず、2万円でお茶を買ってもらうためには、通常のお茶とは違うということを伝える必要がありますが、販路を百貨店に選ぶことで、そもそも、「コンビニに置いてあるお茶とは違うぞ」というメッセージになっています。
そして、もう一つ大きな違いは、使い方です。個人向けには、自分で飲むために買うのでなく、贈答用を提案し、企業向けには、お酒を飲めない方向けに、ワイングラスで楽しめる飲料として提案しています。この新しい使い方の提案が、大きなポイントだと思います。
贈答用については、高級な茶葉を贈るという選択肢もありますが、お茶を美味しくいれるには、知識やスキルも必要ですし、そもそも、贈る先に急須があるとは限りません。しかし、ボトルであれば、知識やスキル、もちろん急須がなくても、美味しく飲むことができるわけですし、お酒が飲めない方への贈り物としても、新しい選択肢になります。
また、企業向けについては、例えば、パーティーなどでは、いままで、お酒が飲めない方へはソフトドリンクを提供していたと思いますが、周りがワインを飲んでいる中で、自分がウーロン茶では、さびしい気持ちになる方や楽しめない方もいるかもしれません。そういった状況の中で、ワイングラスで楽しめる高級なお茶として提供することで、お酒が飲めない方にも喜んでいただくことができるようになります。
お茶は、日常で口にする飲み物であり、非常に身近な飲み物ですから今回のような新しい使い方(売り方)ができるということに驚かされました。お茶でも新しい使い方を提案できるのであれば、他のものでも、新しい使い方、つまり新しい価値を提案できるはずですよね。改めて、価値創出について考えさせられる事例でした。
あなたが、いま扱っている商材の新しい使い方を考えてみてはいかがでしょうか。新しい価値につながるかもしれませんよ。
今後、べネフィッティ─が提供する高級ボトリングティーが、どのように拡がっていくのか注目していきたいです。