日本の「名目GDPが過去最大」のウソを暴く、統計粉飾のカラクリ

 

四項目中の一つ目は、デフレーター100とする基準年を平成17年(2005年)から平成23年(2011年)に変更するというもの。新基準の実質GDPは、2011年の名目GDPを基準とし、そこから物価の影響を取り除いた数値になる。

次に、国連で採択された最新の国際基準「2008SNA」に対応する、とある。これは、これまで「研究開発費だったものを投資とみてGDPに加えるという転換だ。経費だったものが逆に利益にカウントされるわけだから数字は大きく変わる。2015年度の場合、31.6兆円のかさ上げ分のうち20兆円近くを占めるとみられる。

クセモノは下記の三項目目だ。原文のまま記す。

3)また、各種の概念・定義の変更や推計手法の開発等も実施
・国際比較可能性を踏まえた経済活動別分類の変更(サービス業の詳細化等)
・供給・使用表(SUT)の枠組みを活用した新たな推計手法
・ 建設部門の産出額の新たな推計手法 等

なんのことやらさっぱり分からないが、モリ・カケ疑惑で悪名をほしいままにしたブラックボックス・内閣府の真骨頂ともいえる作文だ。「各種の概念・定義の変更」と書けば、何でも変えられる。「推計手法の開発等」「新たな推計手法」とあって、最後に「」をつければ、どのような数値の改変もお気に召すまま”だ。

研究開発費のかさ上げでは足りない分を、この恣意的なやり方で上乗せし、31.6兆円という数字をはじき出したとみるのが自然といえまいか。

新基準への変更により、2016年度の名目GDPは539兆円になった。これをもって過去最大値と政府は言う。

しかし、旧基準だと、過去最大は1997年度の521兆円であって、2015年度は500兆円にすぎない。2016年度の場合、旧基準値がないため正確な比較はできないが、おそらく97年度に比べるとかなり低い数字だろう。

新基準が旧基準よりGDPの数値を押し上げるのはよく分かったが、問題は、アベノミクスがスタートして以降異常に跳ね上がり続けていることだ。

1997年度は、旧基準521.3 兆円から新基準533.1兆円へ、11.9兆円増加した。2015年度は500.6兆円から532.2兆円へと31.6兆円ものアップだ。とても同じ算出方法が適用されているとは思えない。

しかもアベノミクスが打ち出された2013年度以降のかさ上げ額を並べると、13年25兆円、14年28.3兆円、15年31.6兆円。粉飾が粉飾を呼ぶかのように、年々増えている。

安倍晋三首相は2020年ごろまでに名目GDPを600兆円に増やす目標を掲げており、その達成のために内閣府が数字をつくりあげている疑いが濃い。

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