1甁3千円の肉球保護クリームを売りまくるペット用化粧品店の戦略

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SNSの進化とともに、ペットを家族や恋人のように可愛がる人たちが以前にも増して増えているようです。そんな中、「トリミングや洋服でおしゃれするのは当たり前。もっとウチの子をきちんとケアしてあげたい」というセレブな方々の要望に応え、大成功している企業があります。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、犬猫用化粧品などを扱う「Chuck’s TOKYO(チャックストウキョウ)」の戦略・戦術を分析しています。

顧客が満たされていない価値

ラグジュアリーペットコスメで話題の企業を分析します。

Chuck’s TOKYO チャックストウキョウ(ワンダーライン社が展開する犬猫用化粧品を扱う店舗)

戦略ショートストーリー

愛犬や愛猫へのスキンケアにこだわる方をターゲットに「品質や成分などへのこだわり」に支えられた「高品質で安心、安全」「おしゃれなデザイン」等の強みで差別化しています。

大切なわんちゃん、ねこちゃんの身体にやさしく、そして自然環境にもやさしいという商品コンセプトが、顧客から支持を得ています。

■ 分析のポイント

顧客が満たされていない価値

ペット向けのラグジュアリーなアクセサリーブランドなどはあるようですが、Chuck’s TOKYOのようなペット向けのラグジュアリーなコスメブランドはいまのところ珍しい存在だと思います。ちなみに、ラグジュアリーとは、「ぜいたくなさま。豪華なさま。また、ぜいたく品。高級品」という意味です。

飼い主の方が、ラグジュアリーなものを好み、自身の美容にこだわる方であれば、Chuck’s TOKYOのラグジュアリーなコスメブランドが必要とされるのも、自然な流れのように感じます。なぜなら、そういった飼い主の方は、自分の家族である愛犬や愛猫に対してもラグジュアリーなものを使いたいと思うでしょうし、スキンケアにこだわりたいと思われるでしょうからね。そこにいち早く目をつけたChuck’s TOKYOを立ち上げたワンダーライン社はすごいと思います。

ここで、企業戦略を考えるうえで、重要なポイントをご紹介しておきます。企業が提供する価値の方向性として、下記のように、大きく3つの価値に分類ができます(※ この分類は、マイケル・トレーシーとフレッド・ウィアセーマによるものです)。

  1. 製品リーダーシップ
    最高品質や最新といえるような革新的な製品を継続的に投入していく戦略です。Apple社やルイ・ヴィトン、カリスマ美容師がいる美容室などが採用しています。
  2. 卓越したオペレーション
    低価格や便利さを強みとして戦う戦略です。マクドナルドやAmazon、1,000円カットでおなじみのQBハウスなどが採用しています。
  3. 顧客との親密さ
    顧客の個々のニーズを満たして戦う戦略です。リッツカールトンやスターバックス、常連客が通う街の美容室などが採用しています。

今回の分析対象のChuck’s TOKYOがどの戦略を採用しているかというと、「製品リーダーシップ」です。

戦略上重要な考え方の一つとして、「戦わずにして勝つ」というものがありますが、この3つの価値で考えた場合、もし、競合他社が、「卓越したオペレーション」を強みに競争していて、その同じ価値において上回ることが難しいのであれば、セオリーとしては、それらの競合他社が強みとしてない価値である「製品リーダーシップ」や「顧客との親密さ」を強みに戦うべきです。

どちらの戦略をとるかは、自社のコア・コンピタンスにもよるとは思いますが、競合他社が提供していない価値、つまり、顧客が満たされていない価値を強みにできれば、顧客を獲得できる可能性が高まりますからね。

Chuck’s TOKYOのペット向けのラグジュアリーなコスメのように顧客が満たされていない価値を提供できれば大きな機会になります。世の中の商品やサービスをこの3つの価値基準で見てみると面白いので、試してみてください。もしかしたら、満たされていない価値が見つかるかもしれませんよ。

今後、Chuck’s TOKYO がどのようなブランドに成長していくのか注目していきたいです。

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