森友問題に新疑惑、「内部文書」開示でウソを認めた財務省

 

16年3月31日の文書を見てみよう。担当課からの照会(3月24日)に対する回答である。

最初の質問。「校舎建築予定箇所に存在する廃棄物混在土壌を撤去する必要があると考えるが、その考え方でよいか」。

法務部門は「明確な回答は困難」と前提を示した。廃棄物はすでに撤去されたはずだったからだ。

小学校建設用地の地下3メートル以下は沖積層であり、何万年も前のものだ。そもそも、そこに生活ゴミや産廃があるとは考えられない。

しかし、3メートルより上部の土には地下埋設物、生活ゴミ等があると以前から確認されていた。

そのため、校舎建設予定地の下3メートル、運動場部分1メートルを掘ってゴミを撤去した。その費用1億3,176万円は国費有益費でまかなうことになっていた。

法務部門の「明確な回答は困難」という前提は、撤去済みのゴミとの関連が不明であることへの疑念の表明である。一方、担当者のほうは、別に新たな埋設物が見つかったという趣旨で問い合わせている。

法務部門はチャート図を示して次のように説明した。

有益費の対象となっている廃棄物と「同一視」できる場合は、別途ゴミの撤去をする義務は国にない。「同一視」できない場合で、しかもそのために学校建設が不可能になるなら、瑕疵担保責任にもとづく損害賠償を請求される可能性がある。

担当課は前段の「同一視できる場合を最初から無視した。新たに埋設物が見つかったことにすれば、莫大な撤去費がかかることを名目に大幅値引きができると考え、その法的裏付けを求めていたからだ。

損害賠償請求を避ける。財務局は究極の国有地安売りに走り出す理屈をそこに求めた。

国有地の定期借地でさえ過去にない特例だったのに、新たなゴミ発見の虚構をもとにタダ同然の値段で売却、それも10年分割。至れり尽くせり、というより、無茶苦茶だ。法的にも決して大丈夫とは言えないだろう。市民団体が財務省と国交省を背任罪などで告発したのはもっともなことである。

籠池夫妻が16年3月15日に財務省の本省に乗り込んで、理財局の田村嘉啓国有財産審理室長と面会したとき、真っ先に出たのが以下の言葉だった。

今回お邪魔した主たる目的というのは何かというと、近畿財務局の方が、ガラとか、有害物質が入っている土を運ばないで場内に埋め戻してほしい、なんいうようなことが発生したわけです。

前年の9月、近畿財務局、大阪航空局、工事業者、設計会社の担当者が土地改良工事について話し合ったさい、校舎建設予定地の下3メートル、運動場部分1メートルを掘って、廃棄物を全て用地外に運び出そうとすれば莫大なコストがかかることが問題となった。

結果として、建設に支障のないゴミは埋め戻すか、そのままにしておき、費用を抑えることになったのだが、どうやらその事実を籠池夫妻が知らされていなかった可能性がある。

そのため、校舎建設の杭打ち工事が始まるとともに出てきたゴミに驚愕し、工事業者からもらった四者会合の記録メモを手に、善処を求めて財務省に直談判におよんだのだ。

田村室長は籠池夫妻にこう言った。「土地を売る値段よりも、土地を改良する価格の方が高いときに、売るかどうかは、別の判断がありますが、われわれここまでさせていただいて…」

当時はまだ森友学園が国有地を定期借地していた。にもかかわらず売却の話が出ている。しかも、ゴミ撤去費用が土地の価格と近い数字になる可能性まで示唆しているのである。

実際、この面会を契機に、話は急展開しはじめる。翌日の3月16日、近畿財務局と大阪航空局の担当者が籠池夫妻のもとを訪れた。驚くべき素早い対応だ。

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