共産党が最近になって入手した音声データには、その時の数時間にわたる話し合いが録音されている。
財務局 「本省から指示を受けています」
大阪航空局 「有益費(国費負担)で土壌汚染の改良と埋設物撤去をすでにやっておりますが、それとは別に、今回出てきた廃棄物は国のほうに瑕疵があると判断されますので、その撤去については、国のほうでやりたいと思っています」
これらの短い発言に、この日の全ての中身が集約されている。つまるところ、すでに国が撤去費を出したものとは別に新しいゴミが見つかったので、その分は国の瑕疵にあたる。だから、国がそのコストを負担する、というわけだ。
9日後の3月24日、森友学園から近畿財務局に「土地を購入したい」と申し入れがあった。
それを受け、先述の通り財務局の担当者は法務部門に対応を相談した。「小学校の建設には敷地全体の廃棄物撤去が必要だ。土地を安価に買い受けて問題解決を図りたい」という学園側の主張を報告し、判断を仰いでいる。
その後、土地の売却価格について交渉がおこなわれた。以前の当メルマガでふれた関西テレビ放送の音声データにその話し合いが記録されている。簡単におさらいしておこう。
諄子氏 「絶対あれはタダで分けてほしい。私らは授業料を安くしてあげたい」
籠池氏 「きれいになってへんかったんや。棟上げの時に首相夫人も来られるのにどうするの、僕の顔は」
学園の代理人弁護士 「死ぬ気で値段を下げるよう取り組んでほしい。知恵を絞ってほしい。下げる理屈を考えないといけない」
財務局職員 「3メートルまで掘ってます。その下のゴミは国が知らなかったので、そこはきっちりやる必要があるでしょうと…そういうストーリーはイメージしてるんです」
この会合が3月下旬とされる。財務局の法務部門が担当課に回答書を出したのが3月31日だ。
担当課の質問は、学園側の対応を怖れるような内容がほとんどである。法務部門の回答には「具体的事情に照らして、貴課において判断されたい」と突き放したような表現もみられる。
その後、大阪航空局が新たに見つかったとされるゴミの処分費用を8億1,900万円と見積もって、その分を評価額9億5,300万円から値引きし、6月20日に売買契約が締結された。この値引きに何ら根拠がないことを会計検査院が指摘したのは周知のとおりだ。
今回の国の論理だと、廃棄物が入っている国有地の売却についてはあとで損害賠償請求されないよう、全て除去するか、大幅値引きしなければならなくなってしまう。悪しき例をつくったものだ。