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サラリーマンあるある。優秀な社員が優秀な上司になるとは限らぬ

仕事のスピードと質を評価されて出世したまではいいものの、部下にどこまで仕事を振ればいいのか悩んでしまい、自分ですべてこなしていた時の方が楽だったという方、意外と多いようです。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では著者で現役弁護士の谷原先生が、そんな方にぴったりの対処法を伝授します。

組織全体を自分と考える

こんにちは。

弁護士の谷原誠です。

今回は、部下を持つ上司向けの内容です。

平社員から、部署の長など、いわゆる管理職になると、仕事の内容が変わるのは当然として、心構えも変えなくてはなりません。たとえば、部署で行うべき大事な仕事が入り、期限までに失敗せずやり遂げなくてはならないという場合、考えることは何でしょうか。

多くの方が考えるのは、まず「自分でやろう」ではないでしょうか。大事な仕事だけに、まず自分が行うことを検討し、時間的にできない時などに、部下に指示するという考えです。

確かに、経験の深い自分が行ったほうが仕事が早く正確で、クオリティが高いことは多いでしょう。気持ちとしては理解できます。しかしこの考え方が、正しいとはいえません。与えられた仕事を自分で処理する能力は、スタッフとしての能力であり、管理職としての能力ではないのです。

仕事を行うことは、自分の限られた時間を投下することです。そして、管理職は自分の時間、プラス、部下がもつ時間も考慮し、全体のパフォーマンスを考えるべき立場です。だからこそ部下よりも多くの報酬をもらっています

上司が考えるべきことは、組織全体にとって、最も仕事の価値が高くなる時間投下の仕方。自分は、部下より付加価値の高い仕事を行い、そのほかの仕事は、極力人に任せていく方法を考えなくてはなりません。常に、個々のタスクの「費用対効果」を考え、まず部下に振ることを検討し、能力が及ばない場合に、自分が乗り出していくという形にすべきでしょう。

あらゆる仕事を自分で処理して、組織が回っている場合、あたかも「自分は仕事ができる」と勘違いしてしまいがちになります。しかし、それは、自己満足に過ぎません。

上司が忙しく働いている間、組織としてのパフォーマンスは恐ろしく低くなっているかもしれません。それは、ゆくゆくは上司の評価、ひいては部下の評価まで下げてしまうことになりかねません。価値が低い仕事すら、能力的に自分でやらざるを得ない状態である場合、それは部下の能力のせいというよりも、上司の指導の仕方に問題があるということになります。

私たちは、自分の24時間を、何にどう使うか、を考えていると思います。上司になった場合には、その考えを組織全体に及ぼすことになります。「私」対「部下」ではなく、組織全体を自分と考え、誰がどの仕事を担当することが組織全体として効果的に業務が進むか時間を効率的に使うことになるかを考えることが大切なのだと思います。

上司になった人は、ぜひ、「自分でやりたい病」を治療するように気をつけましょう。

人間は『自分でなければできない』と錯覚していることが多すぎる。(P.ドラッカー)

今回は、ここまでです。

image by: Shutterstock.com

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人生で成功するには、論理的思考を身につけること、他人を説得できるようになることが必要です。テレビ朝日「報道ステーション」などでもお馴染みの現役弁護士・谷原誠が、論理的な思考、説得法、仕事術などをお届け致します。

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【著者】 谷原誠 【発行周期】 不定期

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